【本】17062『はじめてのゲーム理論』川越 敏司

投稿者: | 2017-04-13

ゲーム理論について少し勉強した。
「お互いに相手の予想通りの戦略を選ぶことが、お互いにとって最善になっている状態」=ナッシュ均衡
「一方の利得を下げないでは、もう一方の利得を上げることのできない状態」=パレート効率
「ゲームのプレーヤーとは独立な第三者が決めたルールに従うことがプレイヤーにとって最善となる」=ルールと行動の組み合わせを相関均衡と呼ぶ

ナッシュ均衡とパレート効率的な結果は必ずしも一致しない。
しかし、長期的な利得を最大化しようと思ったら、相手を徹底的にやっつけるのは得策ではないわけで、結局同じような結果に落ち着くのかもしれない。

最後の方では、量子力学的戦略についても述べられている。
同時に二つの状態を存在させられる量子力学的な戦略を用いるもの。
量子コンピュータが実現できれば、実装されるのだろうか。

囲碁を嗜んでいたおかげもあり、大方の理論はすんなりと納得できた。

ゲーム理論を少しかじってみたのは、「なぜ制度設計がここまで意味不明なのか」を考える手助けになったらと思ったからだ。
ふるさと納税だって、与えられたルールのなかでプレイヤーが自分の利益を最大化しようと行動したら、特定の自治体に人気が集まるのは誰でもわかるはず。
それを、「寄付の趣旨から外れる」などと批判しても意味がない。

専門医制度もそうで、今度変わる専門医制度は、明らかに大学の利益が最大化されようとしている。
しかし、プレイヤーは若手医師たちである。
彼らが、「大学の医局に所属しないほうが早く臨床実績が積める」「医局に所属しないほうが収入も多くなる」と気づいてしまったら、そもそもそのゲームに参加すらしてくれないだろう。

このような制度に関わっている人たちは、麻雀でも囲碁でもなんでもいいから、とりあえずやってみたらどうだろうか。
きっと、相手プレイヤーが自分の思い通りにならないことに愕然とするだろう。
ナッシュ均衡を目指すことから始めてはどうだろうか。

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