【本】16095 勝者のIoT戦略 by 小林 純一

IoT(モノのインターネット)について、現状の技術についてまとめてある一冊。

特に、医療で要求されるような、IoTの近距離ネットワークについて、筆者は以下の5つの機能が要求されると記述している。

1.センサーの設置場所に自由度があること。
2.通信の信頼性が高いこと。
3.消費電力が低く、予測可能であること。
4.環境の変化に自動的に対応すること。
5.セキュリティーを確保すること。

現実に医療現場で使われているセンサーでも、bluetoothなどで通信を行うものも増えてきました。
今後は、データのクラウド化が行われ、そのデータでの機械学習が進むことで、データの自動解析も進みそうです。

さらには、日常にウェアラブル端末があふれるようになるため、身につけたデバイスから読み取った生体情報から、現在の身体情報を読み取るという分野が進むでしょう。
脈拍を利用した自律神経障害の程度、不整脈の検知などはすでに実用に向けての研究が行われています。

医療分野の変化が進みそうで、楽しみです。

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【本】16094 ウォール街のアルゴリズム戦争 by スコット・パタースン

現在の株式取引は、高速取引が占める割合が大きいと言われている。
人工知能、というかアルゴリズムでニュースなどを分析し、その結果で1秒間に何回もの取引が行われている。
その結果、少しのニュースで極端に価格が乱高下する、いわゆるボラティリティの高い市場を形成している。

本書は、そんな市場ができるきっかけとなった、株式取引にアルゴリズムを導入することが始まった時代の話だ。
株式取引の閉鎖性をオープンにしようとしたプログラマー、大口取引のサインを見つけて絶対に負けない方法を実行しようとするヘッジファンドなど、有象無象が群がり、金融市場が発展した様子が、細かく描かれている。

数学やプログラムの天才たちが、どんどん金融部門に入ってくることで、取引スタイルが大きく変わり、マーケットもそれに対応した。これは時代の必然だっただろう。

そんな天才たちが、医療分野に入ってくるとどうなるだろうか。
医療者が設けた参入障壁なんて、軽く吹き飛ぶくらいのインパクトはあるのではないか。
結果的に、利用者(患者)に利益があれば、いいことには違いない。

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【本】16093 戦国の合戦 by 小和田哲男

筆者は、歴史関係の書籍を多く書いている。

戦国時代の戦争について資料をもとに考察している。

戦国時代は、毎日のように戦争があった。
“近衛尚通の日記『近衛尚通公記』には「世上の儀、いわゆる戦国の時の如し、何れの日にか安堵の思いを成さんや」”
と書くほどである。
そのなかで、戦争の方法が前期と後期で大きく変わっていった。
前期では、土佐の一領具足で有名な、半農半士がメインだったのが、織田家→豊臣家が勢力を広げるなかで、兵農分離が進んだために、戦闘を専門とする武士がメインとなったようだ。これにより、長期の攻城戦が可能になり、籠城=敗戦という図式が出来上がった。(前期には上杉家vs北条家のように、籠城戦で耐えぬいた例もあった。)
武士の専門化傾向が進むと書いたが、実際は農家の二男以下であったようだ。前田利家も農家の五男である。おそらく、相続によって田畑の面積が小さくなることを防ぐ目的もあったのだろう。

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【本】16092 自分のアタマで考えよう by ちきりん

ブロガーとして成功した筆者が、自分が成功するために意識したことについて書いている。
それは、自分なりの考察を持つこと。

“「詳しくなればなるほど、その分野での新しいアイデアに否定的になる」傾向が見られたら、「知識が思考を邪魔している」ことを疑ってみた方がよい”
確かに、医療面でも新しいアイデアに否定的になるのは、多くが医療者である。
既得権益が侵されるという恐れもあるのだろうが、変な前提知識があるからこそ自由な発想が邪魔されていることもあるだろう。
しかし、ちょっとだけの知識であれば思考を邪魔するだろうが、本質部分を理解すれば思考を加速させるとは思う。

“「私は考えた」というのは、「私はあるインプットをもとに、なんらかの結論を出した。ある考えに至った」という意味です。それは「仮の結論」でもいいし、最初の段階では間違ったものかもしれません。それでも「その時点での結論を出した」というのが、「考えた」ということ”

“決められないのは選択肢が多すぎるからではありません。決められないのは、「判断基準が多すぎるから」”
あまりに頭がこんがらがって、何も決められないときに意識したいことだ。
自分の判断基準がしっかりしていれば、迷う場面は少ないだろう。

筆者の指摘どおり、政府の公式発表についても注意が必要だ。
数値は正確だろう(とは信じたいが、中国のように政府発表の数値が怪しい国もある)が、それに伴う考察は、政府の思惑、希望的観測などが多分に含まれているため、鵜呑みにするのは危険だ。
筆者の提唱する、一つの資料を前に30分から60分ほど考察して自分なりの考察を持つというトレーニングは有用だ。

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【本】16091 Audible: 君はどこにでも行ける by 堀江貴文

Audible最後の一冊。(Audibleを活用しきれていないため、解約した。)
ホリエモンの新冊である。

平たく言えば、アジア経済の台頭に関する書籍だ。
アジア諸国への旅行の経験から、各国の特徴を述べている。
アジア経済の発展から、日本の存在感が薄れていることは同意だ。
さらに、アジアは大量の人口を抱えているため、国内GDPの成長も著しい。

一方日本は、人口は多いものの、すでに高齢化が進行しているため、今後の経済成長は期待薄である。
イノベーションによって生産性を高めるという意見もあるが、日本だけがうまい汁を吸うことはできないだろう。
相対的にアジアの成長度が日本よりも高いことは間違いない。

一方で、アジアの課題として、格差の拡大は進行するだろう。
現在は人口ボーナス期の国が多いが、経済成長しているのも首都圏のみである国がほとんどだ。
人口ボーナスが終わるまでに、地方部まで経済成長させるのは難しい。
各国が日本をモデルにし、独裁政権による護送船団方式などを真似ているが、それでも地方部まで成長させるのは困難だ。

医療でいうのであれば、首都圏の医療は先進国レベルに到達している国が多い。
優秀な学生はどんどん海外へ留学し、その後高給で首都圏の医療機関に呼び込んでいる。
一方で、地方部の医療は依然として整備されない。
医師資格は持っているものの素人同然であったり、医療資格のない地域が残るだろう。

そう考えると、アジア地方部にこそ医療のブルー・オーシャンがあるように思える。

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【本】16090 ユートピア by トマス・モア, 平井 正穂

こちらも出口治明氏の『ビジネスに効く最強の「読書」』でお勧めされていた一冊。
ユートピアという言葉を作り上げた書籍だ。

技術によって生産性が上がり、労働者が一日の一部しか働かなくなってよくなった生活を描いている。
この生活は、人工知能が発達して労働時間が短くなった時代にも通用する話だ。

人工知能が発達し、知的生産の多くが人工知能に取って代わるようになると、社会が共産主義に近くなると説く専門家がいる。
ユートピアでも、住民は平等であり、金銭をむやみに集めることはしない。なぜなら、そうしなくても生活に不自由しないからだという。

しかし、ユートピアの平等は、奴隷によって支えられている。思想の多様性もなく、もはや思想統制といっていい。
人工知能やロボットが多くの仕事をすることで、人々は本当に平等になりうるのだろうか。
実際には、ロボットより”安価”な人が搾取されるだけのように思うが。

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【本】16089 男性論 by ヤマザキマリ

イタリア人男性と結婚し、イタリアで生活している漫画家のヤマザキマリ氏。
本書は、男性論というタイトルだが、人生の生き方に関するアドバイスである。
出口治明氏の『ビジネスに効く最強の「読書」』でお勧めされていたので購入した。

その内容はなかなかおもしろい。
筆者は、「ボーダーを超える!」ことを重視する。「置かれた場所で咲かない」ことを求め、日本人の内向きな思想を批判する。
「居心地が悪ければ、その外に出ればいい」と言い切るのもイタリア人と結婚した筆者ならではだろう。

『君はどこにでも行ける』に記載されていたホリエモンとの対談もなかなかおもしろかった。
この考え方は参考になる。

医師というのは、資格自体は国境を超えられない職業である。
しかし、医療知識、臨床経験というものは個人に蓄積される。
それを利用して人に役立つという意味では、資格がなくてもできることはありそうだ。
「ボーダーを超える」ことを意識したい。

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【本】16088 脳には妙なクセがある by 池谷 裕二

脳科学者である筆者が、様々な研究をまとめた書籍である。

特に興味深いのは、自由意志への考察だ。
“自由意志とは本人の錯覚にすぎず、実際の行動の大部分は環境や刺激によって、あるいは普段の習慣によって決まっている”
どのような感情も、ある条件に対する「反射」でしかない。
意志はあくまで脳の活動の結果であって、原因ではない。
したがって、私達にできることは、適切な反射ができるように、良い経験を積むことだ、というのが筆者の主張だ。

これは人工知能の研究者でも同様のことを言っている方がいる。
AIも、ある条件に対して適切な反射ができるように自己学習を行う。AIと人間の違いに、自由意志があるという意見があるが、実際にヒトに自由意志があるとは証明されておらず本質的な違いはない、という主張だ。

自由意志の有無について議論するつもりはないが、自由意志などないと考えても、確かに矛盾は生じない。
自分の嗜好、夢なども過去の条件から生じるものなのだろう。

その他に興味深いところは以下。
脳は”自分の「行動」と「感情」が一致しないとき、その矛盾を無意識のうちに解決しようとする”
つまり、行動にあわせて感情を変えてしまう。
だから、子供に何かをやめさせたいときには、優しく怒った方がいいらしい。無理矢理ではないために子供の脳が”自分の意志”でやめたと認識するため、そのものに対する興味が減弱するそうだ。

“20歳以前まで高かった幸福感は、20代で一気に落ち込み、40代から50代前半までが最低迷期となります。”
幸福感はU字曲線を描くらしい。幸福感が減ったとは思わないが、不満足感は高まっている気もする。理想と現実のギャップというものか。

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【本】16087 シャオミ 爆買いを生む戦略 by 黎 万強

安価でデザインの整ったスマホを世界中に売りさばくシャオミ(小米)。
その企業戦略について述べている。

優秀な人材を集め、顧客へのサービスを充実させる。
チャットを活用した顧客対応も描かれているが、現在はツールが多様化し、顧客と企業の価値が近い(ように見える)のが喜ばれるのだろう。

こういった類の書籍は、えてして勢いのある時代に書かれているので、その後の安定期にも通じるとは限らない。
だいたい書いてある内容は一緒で、その勢いを保ち続けることが最も難しいことなのだろう。

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【本】16086 VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む by 新 清士

プレステ、オキュラスなどVRの技術が進んでいる。
VR(仮想現実)とAR(拡張現実)とMR(複合現実)などの話題も流行だ。

その歴史はAIと共通している。過去にブームがあったものの技術力の問題で廃れてしまい、現在さらにブームが巻き起こり、今度は技術が進んだために期待が高まっているという点だ。

VRの体験は”immersive(没入感のある)”というのがキーワードだ。
“ソニー・インタラクティブエンタテインメントの吉田修平氏は、ことわざの「百聞は一見にしかず」をもじって、「百見は一体験にしかず」と主張”
確かに、VRでの体験は、見るよりも強烈だろう。

また、オキュラスを買収したフェイスブックのザッカーバーグ氏の考察も面白い。
“二〇〇四年にフェイスブックが生まれた当初、オンラインの体験はネットワーク回線の速度による制限もあり、文字などテキストによるものしかありませんでした。しかし、「現在では写真や映像などビジュアルの上でも豊かな表現の投稿が主流となりました。ところがさらにゲームなど没入型コンテンツの登場で、ユーザーは自分たちの創造性をさらに豊かに表現するようになってきた」”
ここから、
“「論理的に考えると、次の段階は、完全な没入型のVRになる」”
というコメントを残している。

筆者の言うとおり、”VRが引き起こす変化の本質は、機械と人間とのやり取りの在り方を変えるユーザーインターフェイス革命”である。

VR→AR→MRと進化していくと言われるが、それがどのような世界を生むか、楽しみだ。

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