【本】17037『スタンフォード大学で一番人気の経済学入門 ミクロ編』ティモシー・テイラー, 池上彰

投稿者: | 2017-03-14

久しぶりにノートにまとめながら読書をした。
経済について知れば知るほど、現在の医療ほど
おそらく、制度設計当初は本当によくできたシステムだったのだとは思う。
病気になっても国が守るから、安心して税金を納めてくれ、と言える。
しかし、その資金源を未来からの借金にしていることで、現在では高齢者の勝ち逃げ世代の負担を、生産人口が背負うという構造になってしまっている。
このままでは世代の乖離もますます進むだろう。

さらに、制度上過剰受診を招きやすく、すでにモラルハザードは起きている、医療提供者側にも、医療を受ける側にも。
厚生労働省の方々も、「このままだと医療費が増える」と言うのもそろそろやめてはどうか。彼らに大事なのは、医療費全体ではなく、医療費の政府負担分のはずだ。

どうせ破綻している保険制度だ。優先順位をつけてソフトランディングに持っていくのか、このまま指をくわえてクラッシュを待つのか。

経済学におけるもっとも基本的な問いは、以下の3つです。 何を社会は生みだすべきか? どうやってそれを生みだすのか? 生みだされたものを誰が消費するのか

政府が市場経済のごく基礎的な部分にしか手をださない状態を考えてみましょう。 政府は盗みを取り締まり、契約の効力を保証し、国防など最低限のインフラを提供します。しかしそれ以上は関与しません。「夜警国家」と呼ばれる状

①ものごとにはトレードオフがある

②利己的な行動が社会の秩序をつくる

減らしたいものがあれば高い税金をかけて抑制し、増やしたいものがあれば補助金や減税で促進するのです。

本当の意味でのコストとは、いくらお金がかかったかではなく、そのために何をあきらめたかということなのです。

④価格を決めるのは生産者ではなく市場である

①分業すると労働者は得意な仕事に、企業も地の利を生かした事業に集中できる

②分業で1つの仕事に集中すると、その仕事に習熟しやすい

経済学で「需要量」という場合、それは「ある特定の価格のときに」人びとがそのものをどれくらい求めるかを表します。

社会全体で所得水準が上がったとき

②人口が増えたとき

③流行や好みが変化したとき

④代替品の価格が変化したとき

現実の政治では、あまりよくない政策だからこそ、あえて価格統制が選ばれる傾向にあります。 なぜなら、政策にかかるコストが見えにくいから

需要量の変化率を価格の変化率で割ると、需要の弾力性が求められます。

アメリカの労働組合加入率は1950年代には33%でしたが、2000年代になると13%にまで低下しました。

19世紀の経済学者であり哲学者であったジョン・スチュアート・ミルは、「あらゆる独占とは、勤勉な人間に課税して、怠惰を助けるものである」

石油輸出国機構(OPEC)は石油価格についての協定を結んでいますが、どこの国もこれを違法として摘発できないのが現状

アメリカの反トラスト法で禁止されている反競争行為

①再販売価格維持 生産者が小売業者に対して一定の販売価格を提示し、それより低い価格で売ることを禁止する行為

②排他的取引 生産者が小売業者に対して、競合業者からの購入を禁止する行為

③抱きあわせ販売 ある製品を販売するとき、とくに必要でない別の製品をセットで売りつける行為

④略奪的価格設定 他社の参入を困難にするような低い価格設定をおこない、独占的市場をつくったうえで価格を大幅に引き上げて高い利益を得る行為

公益事業には、1つの共通点があります。それは、大規模なネットワークが必要である

ネットワークの構築には膨大なコストがかかりますが、それさえできてしまえば低いコストで運用できます。そのため新規参入の敷居が高く、放っておくと独占状態になってしまいます。

総括原価方式は合理的なやり方に思えますが、しかし望ましくない側面もあります。 たとえば、コストがどれだけかかっても一定の利益が保証されるので、コスト削減や業務効率化が促進されません。革新的な技術を生みだそうというモチベーションもはたらきません。

急速に進歩している業界では規制よりも技術競争の促進が効果的

ある市場が機能不全におちいっているとき、もっとも難しいのはその奥にひそむ問題を見きわめ、本質的な対策を用意することです。独占やカルテルなどの反競争的行為、自然独占、必要以上の規制、低所得者に対するサービスの不足など、問題の根はさまざまです。

メディケイドの受給資格を持つ人にとって、給料はいいけれども医療保険のない会社に転職するのは、かなり微妙な決断です。給料アップによってメディケイドの資格が失われ、医療費が全額自己負担になるかもしれないからです。

情報の非対称性でもっともダメージを受けるのは保険市場

医療保険に加入している人は、ちょっとした風邪でもすぐに病院に行くかもしれない

医療保険の加入者を対象にした調査によると、自己負担金の発生するグループでは、発生しないグループにくらべて医療費が3分の1になった

一方、公的医療保険が整備されている国では、市場に競争をとり入れてコスト意識を高めようという動きが出てきています。

国民を広くカバーしつつ、医療費を抑えられるような理想のシステムは、いまだに誰も見つけられていないというのが現状

政府がまずいやり方をしていても、そのような力ははたらきません。 政府の事業には、競争が存在しないからです。 国の提供するサービスがよくないからといって、代わりにサービスを提供してくれる企業はありません。

①市場は、かぎられた資源を配分するための非常によくできたしくみである。生産性アップや技術革新、資源の節約、消費者のニーズの充足といった目的が効果的に実現され、生活水準の向上につながっていく。 ②市場のしくみは、うまくいかないときもある。独占や不完全競争、公害に代表される負の外部性、技術の停滞や公共財の不足、貧困、格差、情報の非対称性による弊害、監視とコントロールの難しさなど。 ③政府は市場の問題を解決するうえで大事な役割を負っている。しかし、政府も不完全な存在であり、問題をかえって大きくしてしまうことがある。

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