【本】17132『植物のあっぱれな生き方 生を全うする驚異のしくみ』田中修

投稿者: | 2017-12-14

動物好きなので植物も手を出してみようと思ったら、これは面白い。
植物もきちんと多様性を確保するための工夫がされている。
一方で、イネ・ダイズは自家受粉。
やっぱり飼い慣らされると多様性を求めなくなる。こうはなりたくない。

多くのタネは、発芽の三条件がそろっているだけでなく、光の当たる場所を選んで発芽します。小学校の理科の教科書で発芽の実験に使われるダイズやインゲンマメなどのように、人間に栽培される植物は、真っ暗の中で発芽してもいいかもしれません。そのまま枯れてしまうと困る人たちが、光の当たる場所に移動させてくれるからです。

植物のタネも、光が当たっているのかいないのかを感じるための物質をもっています。「フィトクロム」とよばれる物質です。

エチレンには、茎の伸びを止めて背丈を低いままにして、茎を太くたくましくする作用があります。だから、植物は撫でられると、発生したエチレンによって、背丈の低い、茎が太くたくましい植物になるのです。 

昔、ヒガンバナは、お墓のまわりに、わざわざ植えられていました。亡くなった人のからだが土葬されていた時代、そのからだをモグラやネズミが食べに来ないように、植えられていたのです。なぜなら、この植物は「リコリン」という有毒物質をもっているからです。

群落の端の植物は、光がよく当たるので、真ん中の仲間に光が当たるのを邪魔しないように、背丈を伸ばしません。その結果、群落の真ん中の方がぽっこりと背が高くなります。

です。「両性花は、一つの花の中のオシベとメシベが、お互いの接触を避けて、健全な子どもづくりを目指している」

つまり、リンゴなどのブランドの果物の品種には、「自分の花粉が自分のメシベについてもタネをつくらない」という自家不和合性を超えて、「同じ品種の花粉が自分のメシベについても、タネをつくらない」という性質があるのです。

サンショウでは、オスとメスの個体が別々の木に分かれているのです。

ゴーヤをはじめ、キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、ヘチマなどウリ科の植物が雌雄同株

トウモロコシは、一つの株に、花粉をつくる雄花とメシベをもつ雌花を別々に咲かせます。

トウモロコシの実には、ヒゲのような細い毛がいっぱいついています。あの一本一本がメシベであり、あの一本の毛の下に一粒の実ができます。ですから、花粉が少ないと、あのヒゲのようなメシベのすべてが花粉を受け取ることはむずかしいのです。花粉を受け取れなかったメシベは実をつくりませんから、「歯抜け」の状態になります。

赤色、青色、黄色、白色が、花の基本の四色といえます。

親指と人差し指で花びらを強く押さえると、その部分にあった空気の泡を追い出すことができます。そのため、その部分は無色透明になります。白色のユリやムクゲ、サクラなどの花びらで、このことを容易に確かめることができます。

夜の暗い時間に咲く花は、香りが強いという傾向

葉っぱが夜の長さをはかれば、植物たちは暑さや寒さの訪れを前もって知ることができる

ウミショウブは、進化の過程で、神秘的ともいえる出会いの方法を身につけました。雄花と雌花が出会うのは、真夏の「大潮の日」と決めたのです。「

スミレやホトケノザは、ふつうの花を咲かせる一方で、閉鎖花という開くことのないツボミをつけます。その中で、オシベの花粉を自分のメシベにつけることにより、タネをつくります。これは、虫たちに花粉の移動を託すだけで、自分たちは動きまわらない植物たちの婚活に対する、一種の保険

自家受精でタネを残す代表的な植物たちは、イネやダイズなど

栽培作物の品種を改良する過程では、「放っておいても、植物が自分の花粉を自分のメシベにつけて子どもをつくる」という性質は大切にされてきている

植物たちにとっては、「ひと花咲かせる」というのは、無限の寿命を放棄した命がけの大仕事

ヒマワリは、伸びた根の内部や付近に菌根菌という菌類をすまわせます。この菌は、土中のリン酸を集めてヒマワリの根に与えます。

緑肥作物が土壌に放出する化学物質の作用によるもので、「アレロパシー効果」といわれます。「アレロパシー」とは、植物が放出する化学物質が他の生物の成長や増殖に影響する現象で、それらの化学物質は、「アレロパシー物質」とよばれます。

イチョウの葉っぱの色づき方が、年ごとに、場所ごとに、そんなに違わない理由は、「イチョウの葉っぱが黄色くなるのは、秋に黄色い色素がわざわざつくられるわけではない」から

モミジの色づき方は、年ごとに、場所ごとに違っているのです。 モミジは、緑色の葉っぱのときに、赤い色素をもっていません。だから、赤色になるためには、葉っぱの緑色がなくなるにつれて、「アントシアニン」という赤い色素が新たにつくられなければなりません。

ん。黄葉や紅葉の葉っぱの色素は、日差しが弱くなる冬までの一時期、紫外線を吸収して、小さく若い芽が傷つけられることから守っている

葉っぱが、枯れ落ちる前に、緑色のときにもっていたデンプンやタンパク質などの栄養物を樹木の本体に送る

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