【本】17121『よくわかる認知症の教科書』長谷川 和夫

投稿者: | 2017-12-06

「長谷川式」の長谷川先生。
教科書のような内容で、基本的な情報の整理はこの一冊で良さそうだ。

最近は、ご自身が認知症であることもカミングアウトされた。
今後の症状経過も発表されることだろう。

脳の器質的障害によって記憶障害などが起こり、それが引き金になって、間接的に感情、意欲、行動などの面で変化が起こることです。これは器質的な障害である「中核症状」に対して、「周辺症状」「随伴症状」あるいは、最近ではBPSD(BehavioralandPsychologicalSymptomsofDementia 認知症の行動・心理症状)

認知症の中でもっとも多いアルツハイマー型認知症では、中核症状と周辺症状ははっきり異なります。しかし、前頭側頭型認知症などでは、中核症状と周辺症状はほとんど区別できません。ですから、中核症状に対する周辺症状という考え方には限界があります。

2006年に発表された国の推計によると、2040年には、認知症の人は約600万人近くになり(人口の約6%)、このうち380万人は見守りによって自立的な生活が可能ですが、200万人以上の人に介護が必要とされます。

・血管性認知症は認知症の約3割。

物盗られ妄想は、淋しさ、孤独感がそうさせることが多いようです。よく話しかけることでなくなることがあります。

グラマリールは、脳梗塞後遺症にともなう攻撃性やせん妄に対して使われる薬剤ですが、錐体外路症状の副作用が少なく、認知機能障害を悪化させる危険も低く、血糖上昇もきたさないので、比較的使いやすい薬です。 

デイサービスなどでは、療法が簡単すぎて、周囲の人に合わせている高齢者がいます。物足りなさを覚えても、ほかに行くところがないという理由で「つきあい」療法をしている人にはリハビリにはなりにくいので、一つの方法だけに頼らないことも重要

リノール酸の働きを抑えるのが、n‐3系のαリノレン酸という脂肪酸です。亜麻仁油、しそ油、えごま油、魚油、くるみ、大豆などに多く含まれます。魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)は健康食品として最近とみによく聞かれる脂肪酸ですが、これらはαリノレン酸系の脂肪酸です。

認知症の人に高みから同情(sympathy)し、「かわいそうだ」と思って「保護する」のではなく、その人の内的体験の中に分け入って、その人に共感(empathy)すること、それが新しい介護、新しい介護の文化(newculture)

なぐさめ(安定性、comfort)──心が混乱してばらばらになりそうなとき、一人の尊厳ある人間として一つの心にとどまることができるように温かさと力を用意する。 愛着(きずな、attachment)──不確定で不安な気持ちに対して、赤ん坊が母親を求めるような密着、愛情の求め。それに対する応答が大切。 帰属意識(仲間に入りたい、inclusion)──孤立ではなく、人と交わっていることで得られる安心感を持ってもらう。注意を引く行動やまつわりつくといったサインを見逃さない。 たずさわること(役割意識、occupation)──人は、自分が仲間にとって役に立つ存在であることで安心し、満足することができる。そのために、その人の能力や気力を引き出すこと。

その人らしさ(物語性、identity)──自分が誰であるかを知り、過去から一貫した自分を保つことができるようにする。その人の過去の物語を聴き、内的体験を聴く。

物盗られ妄想は、他者から話しかけられない淋しさが引き金になることがあるといわれます。

一次予防事業は、ポピュレーションアプローチといい、一般の高齢者(65歳以上)を対象に、認知症予防などを目的に行います。 

二次予防事業は、ハイリスクアプローチといい、介護保険を使うほどではないが、軽度の認知障害がある高齢者を対象にした予防事業です。

に、東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)が開発したプログラムは継続しやすいと評価されています。

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