人口推計や種々の統計データを元に、日本の将来起きる問題について述べている。
資料としては有用な本だろう。
後半の対策部分の提言は、甘い。
筆者が妙案として出している、相続税の増税は現実味がない。
生きているうちの社会保障サービスの公費負担分を先払いする、というものだが、そもそも例として出されている「Aさん」は障害に利用した社会保障サービスの公費負担分が1000万円しかない。
日本の生涯医療費平均は2000万円(2010年度推計時点)で、しかもこれは高齢化により増加する。すべて3割自己負担としてもすでに1400万円の医療費が公費負担である。
大抵の人は「赤字」になってしまい成立しない。
統計データに精通した人(福祉系、メディア系)は、だいたい対策の考察が甘い。
高齢社会へ向けた財源の考察をしている人(主に経済系に多い)は、だいたい高齢社会の状況を甘く見ている。
要は、簡単に思いつくような妙案などないということか。
今取り上げるべきなのは、人口の絶対数が激減したり、高齢者が激増したりすることによって生じる弊害であり、それにどう対応していけばよいのかである。
高齢者数は今後600万人ほども増え、2042年に3935万人でピークを迎えるまで、増大を続ける。その一方で少子化も進むため、高齢化率が上昇を続ける。2036年には33・3%で「3人に1人」、2065年には38・4%となり「2・5人に1人」が高齢者という極めていびつな社会が到来すると予測されているのだ。「
単独世帯の割合が最も大きい年齢層を見ると、男性の最多は25~29歳(29・3%)だが、女性は80~84歳(28・2%)
内閣府が2016年4月に、政府としては初の推計をまとめたが、ダブルケアをしている男性は8万5400人、女性は16万7500人の計25万2900人に上っていた。年齢別では40代前半が27・1%で最も多いが、30代後半が25・8%、30代前半も16・4%で続く。約80%が働き盛りの30~40代であっ
厚労省の「社会保障に係る費用の将来推計」(2012年)によれば、2025年の医療保険給付は総額54兆円となり、2015年より10兆円以上も増えるという。介護給付費も19兆8000億円とほぼ2倍に膨らむと推計されている。
輸血といえば、交通事故など緊急時の手術に使われることをついついイメージしがちである。ところが実際には、怪我などに使われるのは、わずか3・5%程度にすぎないという。 では、残りの血液は何に使われているか、ご存じだろうか? その約80%は、がんや心臓病、白血病などの病気の治療に使用されるのである。中でも抗がん剤などによって、体内で血液が作りにくくなるがん患者の治療に約40%が使用されているとの分析
家総数820万戸のうち、約60%にあたる471万戸がマンションなどの共同住宅だった。
2042年頃の日本社会は、「2025年問題」よりもさらに深刻な状況に置かれそうなのである。社人研の推計によれば、2042年とは高齢者の数が3935万2000人でピークを迎える年
医療や介護のニーズが、高齢化率よりも高齢者数によって決まると考えれば、これから高齢者対策に追われるのは地方ではなく、大都市部であることが分かるだろう。今後の高齢問題とは都市問題なのだ。
コンパクトシティでは、自家用車がなくても用事を済ませられるかがポイントとなる。
CCRCのお手本は米国にある。「大学連携型CCRC」と呼ばれるコミュニティが全米に広がっているのだ。リタイア後のまだ元気なうちに都会から移住し、大学キャンパスで学生生活を楽しみ、体が弱って医療や介護が必要となったら、同一敷地内にある大学病院直結の分院や介護施設で不安なく最期まで暮らせる地域共同体
Aさんが生涯に利用した社会保障サービスのうち公費負担分が1000万円