【本】17098『真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学』 中野剛志

投稿者: | 2017-07-28

アメリカ礼賛に対して異を唱えるタイプの本。
みんなが賞賛しているシリコンバレーも、軍事産業の技術応用にすぎないし、学歴・職歴でズブズブのコネ社会だし、官民癒着だってすごいよ、と書いている。

筆者はベンチャー企業が軍事産業を事業化するのがうまいだけ、と書いているが、この事業化が何よりも難しいだろう。
日本にだって、世界に冠たると自称する技術はたくさんある。しかし、それを事業化に結び付けられていない企業がほとんどだ。
急成長するベンチャー企業のなかに、先進的な技術を使っているところは数少ない。あとは、既存の技術を組み合わせてこれまでにない新たなサービスを開発するのが主流だ。
この辺りは、筆者がビジネスに従事していないことの限界だろう。
事業化の困難さを甘くみているとしか思えない。

学歴・職歴のコネ社会というのはその通りだろう。しかし、安倍首相と仲がいいから学校をつくる、などというコネと、学歴にもとづくコネでは、機会の平等性が著しく異なる。
みんなこれがわかっているから、一部の天才を除いてみんないい大学に入ろうとする。これ自体が悪いとは思わない。

官民癒着については、アメリカと日本では質が異なる。人材の流動性が日本より高いため、能力の高い人を無駄遣いしていないだけだ。
さらに、流動性が高いために、特定の企業への利益誘導を図ることも少ない。日本のような企業への忠誠心もないからだ。
官民癒着を問題にするならば、癒着が原因で起きた汚職事件の例を挙げるべきだろう。

とまあ、それぞれについて反論は可能だ。
別にベンチャーすべてがいいものとは言わないが、玉石混交のチャレンジ土壌自体は評価されてしかるべきだろう。

一九八〇年代のシリコンバレーには、ミサイル、衛星、軍事関連及び宇宙関連の電子技術に関わる企業が多数立地していました。シリコンバレーは、軍事関連産業の集積地だった

ベンチャー・キャピタルもまた、実は、戦争から生まれてきたものだということを

フェイスブックのセキュリティ部門のトップは、二〇一〇年に国家安全保障局に転職しました。ARPAの後継組織である国防高等研究計画局(DARPA)の元局長レジーナ・ダガンは、グーグルの副社長になりました。ヒラリー・クリントン国務長官の顧問だったマーク・ペンは、その後、マイクロソフトにいました。シリコンバレーと密接な関係にあるスタンフォード大学の教務担当副学長だったコンドリーサ・ライスは、ジョージ・W・ブッシュ政権の国務長官を務めた後に、ドロップボックス社の役員に天下りしました。  こうした人事交流にも明らかなように、アメリカのIT産業と軍事の間の官民癒着はまさにズブズブであり、日本の官民の比ではありません(

ベンチャー・キャピタルは、「人」の何を見ているのかと言えば、何のことはない、学歴・職歴とコネを見ていたに過ぎなかったというわけです。言い換えれば、シリコンバレーというのは、エリート限定の閉鎖的な共同体だったのです。

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