【本】17094『幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』橘 玲

投稿者: | 2017-07-10

意外と面白かった。
金融資産、人的資本、社会資本のすべてを手に入れることはできないと筆者は言う。
つまり、「経済的な自由」「やりがいのある仕事」「豊富な友達」のすべてを入手するハードルは非常に高いと。

だから、面倒な社会資本は、貨幣空間の弱い繋がりで可換なものは置き換えた方が良いと主張する。

つまりは、さっさと経済的な自立を手に入れて、自分はやりたい仕事に熱中し、たとえば親に頼っていた子育てをベビーシッターに頼むなど、市場化されたサービスを利用するというスタンスだ。
言っていることはまっとうだろう。

ただし、実際に実行できる人は非常に少なそうだ。
あと、日本の勤務医は単なるサラリーマンだという指摘は、私も実感していた。
本当の専門職となるためには自立しないといけない。

幸福の条件として次の3つを挙げます。 ①自由 ②自己実現 ③共同体

3つの幸福の条件は、3つのインフラに対応しています。 ①金融資産 ②人的資本 ③社会資本

身体を売ることが女性にとっての最後のセイフティネットとされていましたが、いまでは介護業界が、風俗で働けなくなった女性のセイフティネットになっている

資本をひとつしか持っていないと、ちょっとしたきっかけで貧困や孤独に陥るリスクが高くな

私たちは人生のさまざまな場面で、同様のきびしい選択を迫られます。そして多くの場合、「自由」ではなく「隷属」を選ばざるをえません。なぜなら、国家や会社、あるいは夫(家)に生活を依存し、経済的に独立していないのですから……

800万円というのは1人あたりの年収ですから、家族の場合は世帯(専業主婦家庭なら夫)の年収が1500万円を超えるとお金の限界効用はゼロに近づきます

そのなかでもっとも確実に幸福度を上げる方法は、やはりお金持ちになって「経済的独立」を実現するこ

世界的に金利が大幅に低下していることからもわかります。低金利とは債券価格が上昇することですが(詳しい説明は金融の入門書をどうぞ)、なぜ投資家が債券を買うかというと、ほかに投資する対象がないか

マイナス金利の世界では、賢いひとは利潤を最大化するために金融資本よりも人的資本を有効活用する、すなわち「働く」のです

21世紀のアメリカ人の仕事はクリエイティブクラスとマックジョブに二極化すると予言しました。——より正確には、①ルーティンプロダクション(定型的生産)サービス、②インパースン(対人)サービス、③シンボリックアナリスト(シンボル分析的)サービスに分かれるとライシュは述べました

クリエイティブクラス(シンボリックアナリスト)は、「仕事の価値が時給計算できない仕事」ということになります。しかしそのなかにも、「拡張可能な仕事」と「拡張不可能な仕事」があります

彼がうつ状態になったのは、プレゼンに出ないことで自分の能力不足がクライアントや役員など〝プロ〟の前で暴かれることを避けるためだったのです。——そして見波氏は、これがメンタル不調を訴えるサラリーマンのいちばん多い悩

日本では開業医は自営業者ですが、勤務医は「会社」に所属するサラリーマンになってしまっている

日本の会社ではアメリカよりもきびしい社内競争が行なわれているからだと説明します。地位や職階で業務の分担が明確に決まっているアメリカ型の人事制度に対して、上司や部下、同僚たちの評判を獲得しなければ出世できない日本型の人事制度ははるかにストレスフルで、曖昧な基準に対する不満も多く、逆にその過酷な出世ゲームが日本企業の競争力の源泉になってい

低成長の現在では、椅子取りゲームの椅子が減っていくなかでみんなが会社にしがみつこうとするため、状況ははるかに悪

私たちが自分に合ったプロフェッションを獲得する戦略はたったひとつしかありません。それは仕事のなかで自分の好きなことを見つけ、そこにすべての時間とエネルギーを投入するこ

「変化の激しい環境ほど弱者にはチャンスがある」ということを示してもいます。世界が複雑になればなるほど、ニッチは増えていきます

会社組織内部の取引コストが、市場取引以上に法外に高いからです。 コースの慧眼は、物理

老後とは「人的資本をすべて失った状態」のこと

「幸福」は社会資本からしか生まれない

日本の会社で正社員と非正規社員の「身分差別」をなくすのがいかに困難かわかります。「身分」の異なる者が途中から共同体に加わると平等体験が成り立たなくなり、組織の根幹である同期の友だち関係が崩れてしま

にヨーロッパから追い出されたピューリタンたちは北米に初期の植民地を建設した。加えて、懸命に働くことはそれなりの富の蓄積をもたらす。それを幸福と混同しがちな米国人にとって、過労死は、日本人以上に切迫した問題だ

ISE社の労働現場は、仕事をお互いにチェックしあい監視しあっていた段階から、直接の監視や叱責・非難がなくても労働者が自分自身の内面から仕事に責任を持つようになります。「罰がなくても罪を感じるようになる」というこの心理が、日本的経営のひとつの理想の

知識社会の仕事がクリエイティブクラスとマックジョブ(バックオフィス)に二極化していくことを説明しました。 クリエイターとスペシャリストからなるクリエイティブクラスの仕事は「個人の世界」で、それがグローバルスタンダードです。知識社会化とテクノロジーの進歩によって、クリエイティブクラスは大きな組織に依存する必要がなくなり、こうした仕事ではますます「個人」が前面に出るようになっています

ここから、「うつは日本の風土病である」と主張する精神科医まで現わ

ジャーナリストのディビッド・ブルックスは、アメリカに台頭する新上流階級を「BOBOS(ボボズ)」と名づけました。ブルジョア(Bourgeois)とボヘミアン(Bohemians)を組み合わせた造語で、典型的なBOBOSは夫婦とも高学歴で、リベラルな都市かその郊外に住み、経済的に恵まれているもののブルジョアのような華美な暮らしを軽蔑し、かといってヒッピーのように体制に反抗するわけでもなく、最先端のハイテク技術に囲まれながら自然で素朴なものに最高の価値を見出します(『アメリカ新上流階級ボボズ』光文社)

こうした特徴を考えれば、「幸福な人生」の最適ポートフォリオは、大切なひととのごく小さな愛情空間を核として、貨幣空間の弱いつながりで社会資本を構成することで実現できるのではないでしょうか。これをかんたんにいうと、「強いつながり」を恋人や家族にミニマル(最小)化して、友情を含めそれ以外の関係はすべて貨幣空間に置き換えるのです

①金融資産は分散投資する。 ②人的資本は好きなことに集中投資する。 ③社会資本は小さな愛情空間と大きな貨幣空間に分散する

最近新たに逆境を体験したひとを調べたところ、過去に多くの逆境を経験したひとは、あまり逆境を経験したことのないひとに比べて、うつ状態になったり健康問題が生じたりすることが少な

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