ミクロ編に引き続き、マクロ版も読んだ。
「アメリカの経常赤字は、海外からの投資資金が流れ込んでいるためであり、貿易の問題ではない」というのは現政権へのメッセージだろうか。
長期的なGDPの成長には生産性が必要というのは、もはや常識なのだろう。
ただ、ミクロ編の方が面白かった。
ミクロ経済学は、「財」「労働」「資本」の各市場にそれぞれ注目し、「独占と競争」「公害」「技術革新」「貧困」「格差」「保険」「ガバナンス」などの問題について考えるもの
マクロ経済政策の4つの目標は、次のとおりです。 ①経済成長 ②失業率の低下 ③インフレ率の低下 ④持続可能な国際収支
GDPは、1年間に生産(供給)された最終生産物の総額と定義されます。1年間に国全体でどれだけのものが生産され、売られたかということです。
需要から見たGDPを簡潔に表すと、GDP=C+I+G+X−M という公式になります。これは、消費(C)+投資(I)+政府支出(G)+輸出(X)−輸入(M)を意味します。
GDPの欠点は、売買されたものの総額で経済を測るので、売買の対象とならないものについては把握できないということです。 典型的な例が、家庭内の生産
GDPは最終生産物だけを対象にしたものであり、それを生産するために使われた材料や部品は計算に含まれません。
所有者が変わるだけの取引も、GDPには含まれません。
GDPが長期的に大きく下がることもあります。 そのような状況は、リセッション(景気後退)と呼ばれます。 GDPの減少がどの程度つづけばリセッションなのかという正式な定義はありませんが、一部の経済学者は6カ月を目安にしています。
長期的な経済成長は、生産性の向上によって実現されます。
生産性の向上をもたらす原動力は3つあります。 「物的資本の増加」(仕事で使える設備が多くなる)と、「人的資本の向上」(働き手の教育・経験レベルが高くなる)、「技術の進歩」(より効率的に生産できる)です。
1990年代以降、アメリカ経済は大きな変化を迎え、生産性が急速に伸びていきました。ニューエコノミーとも呼ばれたこの変化は、情報通信技術の劇的な発展に支えられた
政府の労働統計局が発表するアメリカの失業率は、現在職がなく、かつ仕事を探している人の数を毎月調査したものです。仕事を探していない人は非労働力人口に分類され、失業者に数えられません。
失業というのは、賃金が均衡点よりも高い位置に固定され、そのため労働の供給量が需要量を上回っている状態だ
経常収支には「貿易収支」だけでなく、「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」が含まれます。
経常赤字とは、国が外国に借金をしている状態です。このとき、外国から国内に向かって投資資金が流れこんできます。逆に経常黒字とは、国が外国にお金を貸している状態です。このときは、外国の資産に投資資金が流出していきます。 経常赤字や経常黒字は、単に売買の問題ではないということです。むしろ、商品やサービスの売買は、些細な問題だといってもいいくらいです。 経常収支とはお金の流れの問題であり、お金が国内外のどちらに向かって流れているかが重要なのです。
つまり「国民貯蓄」+「国外からの資金流入」=「民間の設備投資」+「政府の借り入れ」ということです。
たとえば「アメリカの経常赤字は、アメリカ製品を締めだして自国の安い製品を売りつけてくる不公平な貿易のせいだ」という意見は正しくありません。 けっして、外国の貿易政策によって経常赤字が生まれるわけではない