【本】『GRIT』アンジェラ・ダックワース #11

投稿者: | 2017-02-16

何かを達成するには、やり抜く力=情熱+粘り強さが必要だ。非認知的スキルの重要性について説く本は増えてきたが、本書ではその方法について、筆者が一人の親として答えを示しているのが良い。失敗が恥ずかしいことだと教えないこと。好きなことを見つけさせ、親の背中を見せて、継続するために必要な支援を惜しまないこと。

「あまりに完璧なものを見たとき、我々は『どうしたらあんなふうになれるのか』とは考えない」。その代わりに「魔法によって目の前で奇跡が起こったかのごとく熱狂してしまう」。…「天賦の才を持つ人」を神格化してしまったほうがラクなのだ。そうすれば、やすやすと現状に甘んじていら

「才能」とは、努力によってスキルが上達する速さのこと。いっぽう「達成」は、習得したスキルを活用することによって表れる成果のことだ。

「では、君に教えよう」 そう言ってバフェットは3つのステップを説明した。 1.仕事の目標を25個、紙に書き出す。 2.自分にとってなにが重要かをよく考え、もっとも重要な5つの目標にマルをつける(5個を超えてはならない)。 3.マルをつけなかった20個の目標を目に焼きつける。そしてそれらの目標には、今後は絶対に関わらないようにする。なぜなら、気が散るからだ。よけいなことに時間とエネルギーを取られてしまい、もっとも重要な目標に集中できなくなってしまう。

コックスは4つの指標を「動機の持続性」と名付けた。そのうちの2つは、グリット・スケールの「情熱」の項目にほぼ当てはまる。 〈遠くの目標を視野に入れて努力している(その日暮らしとは正反対の態度)。晩年への備えを怠らない。明確な目標に向かって努力している〉 〈いったん取り組んだことは気まぐれにやめない。気分転換に目新しさを求めて新しいものに飛びつかない〉 残りの2つは、グリット・スケールの「粘り強さ」の項目にほぼ当てはまる。 〈意志力の強さ、粘り強さ。いったん目標を決めたら守り抜こうと心に誓っている〉 〈障害にぶつかっても、あきらめずに取り組む。粘り強さ、根気強さ、辛抱強さ〉

また、「やり抜く力」が強いということは、慢心しないことでもある。分野を問わず、どれほど道を究めていても、「やり抜く力」の鉄人たちは、まるで決まり文句のように「なにが何でも、もっとうまくなりたい!」と口にする。 3.〈目的〉自分の仕事は重要だと確信してこそ、「情熱」が実を結ぶ。目的意識を感じないものに、興味を一生持ち続けるのは難しい。だからこそ、自分の仕事は個人的に面白いだけでなく、ほかの人びとのためにも役立つと思えることが絶対に必要だ。 なかには早くから目的意識に目覚める人もいるが、多くの場合は、ひとつのことに興味を持ち続け、何年も鍛錬を重ねたのちに、「人の役に立ちたい」という意識が強くなるようだ。「やり抜く力」の鉄人のなかでも、成熟をきわめた人たちは、みな口を揃えて同じことを言った。「私の仕事は重要です。個人的にも、世の中にとっても」 4.〈希望〉希望は困難に立ち向かうための「粘り強さ」だ。本書では、興味、練習、目的のあとに希望を採り上げるが、希望は「やり抜く力」の最終段階だけでなく、あらゆる段階に欠かせない。最初の一歩を踏み出すときからやり遂げるときまで、ときには困難にぶつかり、不安になっても、ひたすら自分の道を歩み続ける姿勢は、はかり知れないほど重要だ。

必死に努力する以前に、まずは楽しむことが大事

打ち込みたいものが見つからず、毎日何時間も努力をする覚悟ができていないうちは、興味を持ったことをひたすら楽しんで、どんどん興味が湧くようにしたほうがよい。

赤ちゃんや幼児は、失敗から学ぶことが苦にならない
子どもたちは幼稚園に入るころには、自分がまちがいをすると、おとなが反応を示すことに気づき始める。
ボドロヴァとレオンは、幼稚園の教諭や保育士たちに、失敗しても平気に振る舞うようすを園児たちに見せるように指導している。

「やり抜く力」の強い人びとは、ふつうの人にくらべて、「意義のある生き方」「ほかの人びとの役に立つ生き方」をしたい、というモチベーションが著しく高い。

「自分の夢を追い求めればいい」と娘を応援するやさしい親でも、本人にとってやるべきことは無理にでもやらせるのが親の務めだ、と考えるということを示しているからだ。
子どもには自由を与えるのと同じくらい、きちんと限度を示すことも必要だ
子どもの興味を第一に考えるという意味においては「子ども中心」だったと言えるが、「なにをすべきか」「どれくらい努力すべきか」「いつならやめてもよいか」など重要なことは、必ずしも子どもに判断を任せなかった。

というのも、「子どもに厳しい要求をしながらも、支援を惜しまない育て方」が有効であることを示す科学的根拠はすでに十分にある

親自身が「努力家で、なにかに挑戦するときは全力を尽くし、楽しみよりもやるべきことを優先させ、遠い目標に向かって努力する」姿を子どもに見せていた。

ひとりの親として、また社会科学者としての立場から言えば、子どもがある程度大きくなったら、学校の勉強以外に、楽しんで取り組めるような習いごとや活動を見つけて、かよわせることをお勧めしたい。もし魔法の杖があったら、私は世界じゅうのすべての子どもたちに、自分の好きな課外活動をひとつはやらせてあげたいと思う。そして高校生になったら、最低でもひとつの活動に1年以上は取り組ませたい。R

1.家族全員(パパもママも)、ひとつはハードなことに挑戦しなければならない。 「ハードなこと」というのは、日常的に「意図的な練習」を要することだ。
2.やめてもよい。 ただしやめるには条件があり、シーズンが終わるまで、たとえば授業料をすでに支払った期間が終わるなど、区切りのよい時期がくるまではやめてはならない。始めたことは最後までやり通すべきであり、最低でもある程度の期間は、一生懸命に取り組む必要がある。
3.「ハードなこと」は自分で選ぶ。 選ぶのを他人任せにしない。自分が少しも興味を持っていないのに、ハードなことに取り組んでも意味がないからだ。わが家では娘たちにバレエを習わせたとき、世の中にはほかにもさまざまな習いごとがあることを説明し、よく話し合ったうえで決めた。
4.(高校生になったら)新しいことでも、いまやっていること(ピアノやヴィオラ)でもかまわないが、最低でもひとつのことを2年間は続けなければならない。

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。