【本】『成功する子 失敗する子 _ 何が「その後の人生」を決めるのか 』ポール・タフ#8

投稿者: | 2017-02-12

”逆境によるストレスが、発達段階の体や脳にダメージを与える”
”脳のなかで幼少期のストレスから最も強く影響を受けるのが前頭前皮質、つまり自分をコントロールする活動──感情面や認知面におけるあらゆる自己調節機能──において重大な役割を果たす部位である。”
”実行機能の能力を阻害しているのは貧困そのものではなく、貧困にともなうストレスだったのである”
”生後一カ月ほどのあいだ、泣いたときに親からすぐにしっかりとした反応を受けた乳児は、一歳になるころには、泣いても無視された子供よりも自立心が強く積極的になった”
”こんにちの富裕な親たちは子供と精神的に距離をおきたがり、同時に高いレベルの成果を要求する。これは子供たちに有害な影響を与える「強烈な恥辱と無力感」をつくりだす可能性がある”
”豊かでも貧しくても、子供の不適応を予測できる材料となる家庭の特質は共通していた。母親のアタッチメントのレベルが低いこと、親が過度に批判的であること、放課後に大人の目が行き届かないことなど”
”誰かが意外なほど自分のことを深刻に受けとめてくれるという──自分の能力を信じてくれて、もっと改善できるからしてみなさいと持ちかけてくれるという──体験が必要なのだ。”
”高校の成績が非常によかった学生の大多数は、たとえその高校が困難校でも、どこであれ入学した大学をきちんと卒業した”
”やり抜く力や自制心は失敗を通して手に入れるしかない。しかしアメリカ国内の高度にアカデミックな環境では、たいてい誰もなんの失敗もしない”

幼少期のストレスが前頭葉の発達に悪影響を及ぼすが、その影響は親の関わりで最低限に抑えることができる。しかし親が保護するだけではなく、失敗させなければやり抜く力や自制心を身につけることはできない。非認知的スキルの重要性についての本はかなり多くなってきたが、このあたりがきちんと書いてある本は初めてで参考になった。良書。

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