個人にうったえ、マイブームを集めることで文化をつくる、ボトムアップ形式のPRについて。
現代はどんな情報を発信するにしても、その向かう先が「個人」でなければ、大きな流行をつくることはできません。クチコミの力がいかに強いかはみなさんご存知だと思います。「あの場所はよかった」「この商品はすばらしい」と、主体的に動いてくれるのは「個人」。この「個人」をコアとした情報の拡散が、現在のPRでは最重要課題なのです。
私が考えるPRとは、これまで興味をもっていなかった人に訴えかけて、自発的に「ほしい」「使いたい」「行きたい」と思ってくれるように働きかけていくことです。
私の考える〝臨界点〟は、約二パーセント。現在の日本社会が一億人のスケールだとすれば、二〇〇万人に伝えることができれば、そこから先は拡散されることで生命をもったかのように、情報そのものがPRを新たな次元に導いてくれます。
自己実現欲求の上昇志向から足下へ。景気が後退し、市場が収縮していく局面では、低価格なだけでなく自分の足下、ルーツにつながるものを求めるようになる傾向があると私は思っています。
人々が求めるストーリーとは「その商品がどのようにつくられたか」といった背景や理念を表現する企業からのメッセージだと考えています。
その商品を世に出すことの意義」が明確であれば、ターゲット設定を間違うことはありません。つまり「誰のために」「何のために」、そして「なぜ、いまなのか」という商品の存在意義をしっかりと把握することが、PRを誰に向けて発信するかというターゲット設定をする上で非常に重要だということです。