【本】17014『高杉晋作の「革命日記」』一坂 太郎

投稿者: | 2017-01-25

好きな歴史上の人物は高杉晋作だ。松蔭の教えを理解し、その実現へ向けて行動したリアリストの印象がある。竜馬がいなくても薩長同盟は実現したろうが、彼がいなければ明治維新は起きなかったかもしれない。そんな彼の日記を集めた本だ。
革命にまつわることはほぼなく、単なる日記である。自称「疎にして狂」という性格だが、面白くないことがあると日記も突然終了することが多く、実際そうだったのだろう。

初めて船に乗ったときの日記→徴収を出発して和歌山沖にいた頃に中断(おそらく船酔いしかで、船がイヤになったのだろう。)その後、私は疎にして狂な性格のゆえ、船には向いていない。「船を諦めて剣術修行をする」と江戸から北関東へ

剣術修行日記→宇都宮で日光東照宮に対して悪態をつくなど元気はあったものの、途中で中断。筆者の分析によると、中断した日は、地元の道場主に完膚なきまでに負けた日であるとのこと。地方剣術に敗れた悔しさから、日記が途切れる。

お勤め日記→西洋視察メンバーに入ったことを喜びながら、その話が立ち消えになったときには、それを日記に書くことすらなかった。

性格も、その人生と同じく、浮沈の激しい人だったのだろう。
最も彼が陰気に過ごした時期であろう、投獄中の日記は、さすがに心折れることなく、完走している。

革命を理解しながらも、封建主義の価値観からは抜けきれていない彼の価値観は、人間のフレーム問題をあらわしていると言える。

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