【本】17009『司馬遼太郎が描かなかった幕末 松陰・龍馬・晋作の実像』一坂太郎

投稿者: | 2017-01-20

司馬史観とよく言われるが、日本人の歴史観は、司馬遼太郎の影響力が強すぎるらしい。
本書は、史料をもとに、司馬遼太郎の描かなかった人物像(主に吉田松陰、高杉晋作)を書く、というものだ。
結論から言うと、本書を読んだからといって、彼らの人物像が覆るものではなかった。高杉晋作が多少そそっかしくて軽率なところがあることも、坂本龍馬のプライベートがやんちゃであるところも、司馬遼太郎の小説と矛盾するものではない。

フィクションだからこそ、人生教訓にもなり、ビジネス書に引用されるようにもなるのだろう。それでいいのではないか、と思うが。

「船中八策」は原文書が残っていないばかりか、当時の史料にもそれらしい存在が見当たらない、実は謎が多い史料だ。文中に「議員」「規約」「断行」「並立」など、慶応四年以前の用例が無い漢語が使われている点からも、後世の創作との説が有力

山口県では百五十年近くを経たこんにちでも「脱隊騒動」をタブー視する風潮が強く、私も以前山口県の県外向け広報紙に奇兵隊の始末を書いたところ、「脱隊騒動」の部分は無惨にもカットされてしまい、憤りを通り越して呆れたことがある

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