【本】16137『未来政府_プラットフォーム民主主義』ギャビン・ニューサム, リサ・ディッキー

投稿者: | 2016-12-30

日経新聞の書評欄で推薦されていたから購入した。

各自治体の関係者にはおすすめだ。これからの政府のあり方について、為政者の視点、技術や時代の流れからの視点で書いてあり、面白い。

とかく政府機関はデータを抱えがちである。しかし、これからの時代は、オープンデータが基本となる。

政府が情報を抱えこみ、市民の問題を解決するのではなく、政府は手にした情報を開示することで、市民が解決策を考えていく時代になる。これは市民社会の正しいあり方だろう。また、いかにもアメリカらしい考え方だ。

『政府はただ、手助けをしてくれる人々のために情報を公開し、身軽に動き、物事をシンプルにするだけでいい。』というメッセージは尊い。
日本のデータのいったいどれほどが、抱え込まれているせいで闇に葬られているか。

私も経験があるが、現在の公開情報は変にソートされているため使いづらく、元データを二次利用しようとすると、夥しい書類のやり取りが必要となる。なぜこんなことをしなければいけないのか。データにアクセスする権利を研究機関等に絞る正当性はあるのだろうか。研究機関だけでしか研究ができない時代でもあるまいに。

“同様に、情報の流れが政府から国民へ、エリートから中間層へ、教授から学生へ、メディアから消費者へと常に一方通行であったなら、人々が違う方向の流れに思いをいたすことはほとんどないだろう。しかしテクノロジーはすでに双方向の流れを開いた。私たちは好むと好まざるとにかかわらず、そういう世界で生きなければならないのだ。”

“シチズンビルとは、解決策が次第に市民の手に移っていく「ガバメント2・0」の実現に他ならない”

“私たちは生の情報が確実に誰の手にも入るように努め、人々が自分なりの判断を下せるよう図らなければならない。これもまた、オープンデータに期待できることの1つである。”

“プライバシーのあった時代はもはや遠い。今や「心配するのを止めて水爆を愛すること」を学ばなければならない時代なのである。”

“「手持ちのデータを公開し、知的所有権を放棄して誰もがアクセスできるようにすれば、本当に頭のいい人々がそれを見つけて、遊び道具にしますよ」と、ストッペルマンは言う。「別にまじめな理由などなくても、人々はクールだからというだけで、そうするでしょう」。政府はただ、手助けをしてくれる人々のために情報を公開し、身軽に動き、物事をシンプルにするだけでいい。”

“私たちは『ヘルス2・0(医療・ヘルスケア分野における最新のテクノロジーを紹介する国際会議)』や、他の政府機関、財団などと連携しました」と、パークは言う。「企業はそれぞれ、データを生かした最良のアプリを作ることを表明し、データ活用のための挑戦を続けました」。こうしてそれ自体でも便利で有益なブルー・ボタンが、さらに大きな存在──プラットフォーム──になったのだ。”

“本書の論点の多くは、突きつめれば「物事を単純化し、複雑だという思い込みを捨て、基本に集中しよう!」ということに尽きる。政府が人々の関心を引きたいなら、企業や団体が人々の関心を引こうとするときに使うのと同じツールを使うべきなのだ。人々に公共の問題を考えてほしいなら、それらを理解し、関与するための方策を与えなければならない。複雑なのは私たちが直面している問題ではなく、その解決のために設計されたシステムの方だ。それなのに昔からそうしてきたからという理由で、私たちはそのシステムにしがみついている。”

“彼はネット世代に共通する8つの特性を発見した。(1)自由(2)カスタム化(3)調査能力(4)誠実性(5)コラボレーション(6)エンターテインメント(7)スピード(8)イノベーションだ。”

“グーグルで医者を検索しました」と、ストッペルマンは言う。「すると保険会社や基本的な職業別一覧のサイトにはたどりつきました。しかしどの医者が本当にいい医者なのかがわかるものはどこにも見当たりません。『みんなはこの医者のことをどう思っているのか?』と悩みました」。医師のリストは見つかったので、各人が開業している場所や、卒業した医学校はわかった。しかしその医師がどんな評判を取っているのかを知る術はなかった。「現実的で取り組みがいのある、未解決の問題がそこにありました」と、ストッペルマンは言う。  「私は『オフラインで対処するなら、どうするだろう?』と自問しました。昔ながらの解決策は、大勢の友だちにお勧めを聞くことでしょう。いわゆる口コミですよ。そこで『口コミをウェブに持ちこむ方策はないか?』と考えました」。友だちに個人的なお勧めを尋ねるという体験を、ネット上に移植することは可能だろうか? ストッペルマンは可能だと考えた。”

“2011年現在、自宅にトイレがあるインド人(46・9%)よりも、携帯電話を持っているインド人(63・2%)の方が多いのだ。”

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