【本】16133『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』 by 井上智洋

投稿者: | 2016-12-30

筆者は、人工知能、特に汎用人工知能の発達によって、経済が様変わりすると考えている。汎用人工知能とは、GoogleのAlphaGoのように、囲碁のために開発されたわけではない、機械学習をベースとした人工知能です。
機械学習によって様々なことが可能になるために、人間の雇用を奪う可能性が高い—そう筆者は考えています。
特に雇用が奪われるのは、事務労働です。現時点では、中間所得層が所属する部分です。税理士や、弁護士の準備のような、決められたルールに従って作業を行う職業です。もちろん、一部の医師もここに入ります。

中間所得が属していた事務作業が根こそぎ奪われたとき、その層が次に移動するのは、低所得層しかありません。したがって、中間所得層の労働が減って、貧富の差が拡大してしまう、というのが筆者の危惧です。

筆者の言うこともありうるでしょう。おそらく、AIによって雇用が喪失する人はすでに出ているでしょう。しかし、これだけなら自動車が登場したときと同じです。重要なのは、解雇された労働者が低所得に陥ってしまうという指摘です。「いきものの壁」を利用して対抗する、というのも一つですが、なかなか不安定です。

“汎用人工知能が普及した世界にぜひとも導入すべきだと私が考えているのは、「ベーシックインカム」”

“イノベーションが発生しても、既存産業が効率化し消費需要が増大するか、新しく生まれた産業に労働者が「労働移動」することにより、技術的失業は解消されてきました。「労働移動」というのは経済学の用語で、ある業種から別の業種へ、あるいはある企業から別の企業へ労働者が移動することです。”

“現在のところ雇用破壊が進んでいるのは、頭脳労働でも肉体労働でもなく、中間所得層が主に従事する事務労働”

“中間所得層の労働が減り、低賃金と高賃金の労働が増大するこうした現象は、アメリカの労働経済学者デヴィッド・オーター等によって労働市場の「二極化」(Polarization)と呼ばれています。”

“生命の壁が存在するならば、  ・クリエイティヴィティ系(Creativity、創造性)  ・マネージメント系(Management、経営・管理)  ・ホスピタリティ系(Hospitality、もてなし)  といった三つの分野の仕事はなくならないだろう”

“フレイ&オズボーンの「雇用の未来」では、人間に残される仕事のスキルとして、「クリエイティヴィティ」(創造性)と「ソーシャル・インテリジェンス」(社会的知性)が挙げられています。私は、ソーシャル・インテリジェンスをさらに、マネージメントとホスピタリティに分けて考え、ホスピタリティの重要性を特に強調します。”

“オーストリアの経済学者フリードリヒ・ハイエクは、価格を決定するために必要な需要と供給に関する無数の情報を一箇所に集めることは現実的に不可能だと言いました。このような情報の局在性ゆえに計画経済では妥当な価格の決定はできないと論じています”

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