【本】16043 希望格差社会 「負け組」の絶望感が日本を引き裂く by 山田昌弘

投稿者: | 2016-04-26

現在は、若者が将来に持つ希望にも格差が生じている、というのが筆者の主張だ。

この理由は、将来の不確実性が増しているからである。
この状況を、”ドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックは、「リスク社会の到来」と呼んだ。”

昔は、収入が低くても、学歴がなくても、年功序列と終身雇用によって、いつかは収入が上がるという希望を持つことができた。
「いつかはクラウン」「憧れのマイホーム」といった文句は象徴的だ。

しかし、”現在起こっている二極化は、仕事能力による格差拡大という点で、能力のある人のやる気を引き出すかもしれない。一方、能力がないと自覚する人のやる気を失わせる逆効果がある。”
なぜなら、現在の格差は、階層の固定化を生んでいるからである。

このような職業の不安定化は、”一時的な不況のせいではなく、産業システムの構造変動”のせいだという。
“今後企業によって求められる能力として、「変人」と「精神分析家」という二つの資質”であり、訓練で身につけることが困難な能力だからである。

古くは、教育は階層を飛び越える役割を果たしていた。就職にこまるリスクを低減させる装置として”学校教育システムの最も完成された形が、戦後日本のパイプライン・システム”であった。そもそも”教養は上流階級の趣味の一種であり、学校教育システムは「貧しいものの階層上昇の手段」として存在していた。”
だから、教育の内容よりも、受験勉強が重要であった。

しかし、これも今は破綻してしまい、大学院卒の塾講師などが大量に生まれている。

グローバル化の流れのなか、終身雇用や年功序列の復活などできないし、この流れはしばらく続くだろう。

“「機会だけ与えて結果は知りませんよ」というシステムが多くの若者を落胆させている。”
筆者はこのように述べるが、実際の若者は機会を与えられているとさえ思っていないのではないだろうか。
私は、決して日本にはチャンスがない国だとは思わないが。
そのチャンスをつかむ、階層を飛び越えようと思ったら、やはり最も効率の良い方法は教育だろう。

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