筆者はアメリカの対中政策を担ってきた人物です。
戦国策、孫子、孔子、三国志演義、囲碁に至るまでを論じて、中国の現在の姿勢を読み解いています。
おそらく、このような中国の思想を踏まえた上で中国の戦略を分析しているアメリカのアドバイザーは少ないのでしょう。
しかし、日本では上記の歴史はあまりにも有名ですので、そこまで目新しさはありません。
むしろ、上記の考え方に固執し過ぎな感があります。
例えば、囲碁の思想から、中国は敵国に包囲されることを嫌うと書いてありますが、どんな戦略ゲームやスポーツであれ、味方が敵で包囲されることは歓迎しないでしょう。
戦国策や孫子の話にしても、「準備を整え、相手の弱いところを攻める」という原則は古今東西変わらないはずです。
離間の策やら苦肉の策やら、おそらくヨーロッパでも同様のエピソード集はあるでしょう。
政府発言が故事を踏まえたものになる、というのもヨーロッパや日本だって同じです。
中国については、日本人の方が価値観、文化、歴史について理解が深いのでしょう。
よくも悪くも、「アメリカ人が中国(アジア的価値観)をどう捉えているか」を知るのに勉強になります。
ヨーロッパ人が分析したらどう書くのだろうか、と興味が湧きました。