著者は、OECD東京センター所長。
著者がOECDの統計データに詳しいため、OECDの発表資料や日本の政府統計などを多く引用している。
高齢社会、人口減少、女性の社会進出などのテーマについて国際比較を行いたいときに、どのようなデータがあるか参照することができる。
議論内容に目新しさはないが、資料として役に立つ本だ。
“中高年齢者層のスキルは国際的に見ても大変高い水準にあり、彼らの潜在能力を効率的に活かす工夫をすれば、この年齢層から社会への大きな貢献が期待できる”
結局、高齢社会のなかで生産人口が減少するのが困る。その減少分をカバーしようと、移民政策や女性の社会進出が打ち出されている。最近では、高齢者の人材活用も言われるようになってきた。さしづめ「シルバノミクス」とでも言ったところか。
定年制度などなくして、年齢に関係なく働きたい人が働けるようにする「年齢不詳社会」は横山禎徳氏の主張だ。
そのために、柔軟な職業形態、転職のハードルを下げるなど、労働市場の流動性を高めることが重要だと指摘されている。
専門医資格やら常勤勤務にこだわる医療界に伝わる日は来るだろうか。