【本】17141『仮想通貨革命で働き方が変わる――「働き方改革」よりも大切なこと』野口悠紀雄

投稿者: | 2017-12-22

ブロックチェーンが当たり前となった社会での勤務形態について。
Uber、Airbnbという胴元が必要なくなる。

専門家がフリーランス化する、その勤務形態が5種類くらい紹介されている。

Augarをこれで知ったが、面白い。
金融工学とかの公式使わずに大衆の知識で妥当なオッズを決められる。
たしかに、ギャンブルも保険も本質は同じ。

「働き方改革」を実効性のあるものにするには、規制に頼るだけでなく、価格の活用など、市場に任せる方法を重視すべき

本当に必要なのは、労働の成果に見合った適切な報酬(現在の給与だけでなく、将来の昇進なども含む)を得られるこ

一定以上の報酬に対して、限界税率50%の税金がかかるのと同じことになる。これは、きわめて高い税率だ

現在生じているのは、低生産性部門での人手不足の深刻化なのだ。雇用状況の改善とは言い難い

今後10年程度の間に、労働力人口は500万人弱減少するが、医療・介護従事者は200万人程度増加するのだ

技術革新を牽引するのは、政府の予算ではなく、市場の競争である

(1)独立契約者(独立労働者の35%、1910万人)雇用されず、一時的に、またはプロジェクトベースで自分自身で仕事を行なう。(2)分散労働者(同28%、1520万人)従来の形の雇用やフリーランスの仕事など、さまざまな収入源から所得を得る。例えば、週20時間は歯科医の受付で働き、残りはUberで運転をしたりする。

(3)ムーンライター(同25%、1350万人)従来の形態で雇用され、その他にフリーランスの仕事をする。例えば、企業に雇われてウェブの仕事をするが、夜には、他の会社のウェブの仕事をする。(4)フリーランスのビジネスオーナー(同7%、360万人)フリーランサーとして事業を所有し、何人かの人を雇用する。(5)臨時雇用労働者(同7%、360万人)従来と同じように単一の雇用主の下で働くが、そのステータスが臨時的なもの。例えばデータの入力作業を3カ月契約で行な

インターネットを使うフリーランサーの仕事としては、何らかの意味で「情報を売る」のがもっとも効率的だ。ただし、問題は、何を売るかだ。具体的な内容は本章の3で述べるが、一般的にいえば、つぎのようなこと

ビットコインが用いられる世界で専門的知識を使って収益をあげる第5の方法は、予測市場に参加することだ。

現在すでに、AugarやGnosisなどの予測市場が実験的に運営されている。予測市場を用いると、これまで金融取引として行なわれてきたさまざまなリスク対処取引(先物取引、オプション、デリバティブ取引など)を代替することができる。このため、きわめて大きな潜在可能性があると考えられている。予測市場とは、単なるギャンブルではない。ある種のテーマについて、専門家は専門的知識を使えることで、予測市場において他より有利な立場に立っている。こうした形で専門的知見を収益化することもできる。

重要なのは、仮想通貨の利用者が増えるということだ。送金を受け入れる観点からすれば、利用者の増大こそが、大きな状況の変化をもたらしうる

UberやAirbnbが行なっていることの大部分はルーチン的な情報の処理であるから、スマートコントラクトの形に書き換えて、ブロックチェーンで運営することができるのだ(「スマートコントラクト」とは、コンピュータが理解できる形で書かれた契約のこと)。そうなると自動的に運営できる。つまり、サービスの供給者と需要者が仲介者を介さずに直接に結びつくことになる。

ブロックチェーンを用いるスマートロックの技術は、家、自動車、洗濯機、自転車、芝刈り機、保管庫など、鍵をかけられるものであればどんなものでも、第三者の仲介なしで、簡単に貸したりシェアしたりすることを可能にする。

企業は永続的な組織ではなくなるかもしれない。ある仕事のために資金と人材を集め、終わったら解散するのだ。中世イタリアの「コンメンダ」という事業形態では、航海ごとに出資を募った。イギリス東インド会社は、初期の段階では一航海ごとに資本家が出資を行なう形態だった。未来の企業組織は、このようなものに先祖返りするかもしれない。

デトロイトの自動車産業という単一の産業に依存しているからだ。鉄鋼の場合には、早くからアメリカの鉄鋼産業が衰退し、政府からの救済がなかった。だから、他の産業に転換するしかなかった。しかし、自動車産業は、連邦政府が援助した。だから生き残った。いまもトランプ政権は、アメリカの自動車メーカーを助けようとしている。それは、アメリカの産業構造転換を遅らせる効果しか持たないだろう。

外国の事情に関しては、とくにこうした誤りに陥りやすい。グーグル・ストリートビューなどで実際にどんな場所なのかを確かめてみることが必要だ。

集積によって得られる重要なものは、情報である。しかも、公開されていない非公式の情報だ。

人と人との直接の接触によって、こうしたインフォーマルな情報を得られるのが、集積の最大のメリットだ。それは、大学のセミナーや町中のレストランで交換される。大都市のなかにいると、現実に押し流されて、方向が見えなくなる。政治の中心であるワシントンや、企業の本社があるニューヨークにいると、そうなる。そうした地域から離れていることに意味がある。

正規・非正規で仕事の内容は同じであるとし、「正規は長期的な雇用保障をするが、非正規はそれを保障しない」というだけの差であるとしよう。その場合には、雇用が保障されていないことを補うだけ、非正規の賃金率が高くならなければならないはず

若い人材は確保したいが、給与が高くなった中高年は切りたいというのが、企業の本音だろう。

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