【本】17119『幕末武士の京都グルメ日記 「伊庭八郎征西日記」を読む 』山村竜也

投稿者: | 2017-12-04

戊辰戦争で左腕を失いながらなおも戦った、伊庭八郎の21歳の日記。
食い道楽で、京都の日常を楽しんでいたおぼっちゃんという雰囲気が伝わる。これが5年後には戦争で名が残るほどに奮戦して戦死いるのだから、人は分からない。
当時の武士の消費性向は高い上に、つきあいでの贈り物も貰い物も大変多い。蓄財という価値観はないのだろうが、これでは時代によって困窮する武士が出てくるのも仕方ない。
また、将軍御一行にさえも遠慮なく物を売りつけにくる大阪人に、筆者が衝撃を受けているのが面白い。権威ってその程度。
あとこれを見て思ったが、特に海外の食べ物の写真を撮るときなど値段もセットで記録しておくと、資料として使える。

山上の鞍馬寺で義経の遺品の兜、太刀、それに義経の家来として有名な武蔵坊弁慶の太刀を見物している。 感動的なことに、この日八郎が見た遺品の数々は、現在も「鞍馬山霊宝殿」にそのままの状態で残されている。

枚方の人々は、相手が天下の将軍の一行でもかまわず売りつけるのだから、その商魂のたくましさは讃えざるをえない。

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