岩田健太郎先生が書いた、感染症治療の考え方の基本。
内容は良書。基本的な原則がコンパクトにまとまっている。
ただ、私の期待とはズレてしまっていたのが残念。
「高齢者のための」と銘打っているので、最近話題となっている「どこまで治療するのか」という分野について、欧米のエビデンスから鋭く切り込むのかと勝手に期待してしまっていた。
「○歳以上の抗菌薬治療は無意味」くらいの岩田節が飛び出すことを期待していたのが、実際はいたってまともな感染症診療の原則である。
逆に言うと、このくらい基本的な内容を、まだ岩田先生レベルが執筆しなければならない日本の診療レベルが問題なのだろう。
医療の地方格差が大きいことは身をもって体験している。感染症診療もそうだ。
まだまだ、感染症の専門家が基本的なことを布教しなければいけないのだろう。