【本】17044『中国の論理 – 歴史から解き明かす』岡本隆司

投稿者: | 2017-03-21

中国の歴史について、儒教の歴史を中心に解説している。おすすめだ。
現在まで通じる価値観を説明するのに、儒教は欠かせない。

中国人はプロフェッショナルを評価しない。
「君子不器」という考え方があるため、君子は偏ってはいけないからだ。だから、医師に対しての暴力事件などの問題が起きるのだろう。一方で、最近の中国での起業ブームは、若手のギーク達が中心であり、そういう意味では、伝統を打破して専門家が活躍しているとも言える。

エリートと庶民の二分も興味深い。古くは科挙にまで遡るエリート層だが、彼らは政治を受け持つ。一方で、庶民は経済を受け持っていた。いわば、権力と財力の分離だ。だからこそ、社会主義体制のなかでの資本主義という、一見矛盾した政治体制が成立し得た。この二層を分けるのは儒教が最も重視する「礼」の有無である。科挙の制度はこの構造を強めるものではあったが、両者それぞれの内容、互いの距離・関係は時代によって必ずしも同じではなかった。

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。