外交の本。大半は読み上げで聞いて読了。
筆者は、「世界はよい方に向かっている」とは述べている。しかし、現在はその「危険な過渡期」にある、というのが主な主張だ。
歴史を元に将来を予測する姿勢には共感できる。
経済のグローバル化と民主主義は相容れない。自らの国の利益を優先するには、どうしてもグローバル化に逆行する時期が必要となる。
イギリスはEUを離脱するし、ギリシャも緊縮財政を到底受け入れない。
トランプ・習近平・プーチンなどがひしめくなか、日本が安穏と暮らしていけるわけがない。
アングロサクソン国家同士の絆は強く、日本が割って入ることができるものではない。
アメリカが孤立主義、中国が覇権主義を押し出すなか、日本は一極として立つことができるように行動することが重要だ。
とはいえ、世界諸国からみると、人口が減少する日本よりも、絶対数が多い中国や、まだまだ人口ボーナスが続くアジア諸国を優先するのは当然にも思える。
日本がアピールできる付加価値はなんだろうか。よほどの危機感を持って立ち向かう必要があるだろう。
この状況下に、次の三つの勢力が生まれるのである。すなわち、オールド・グローバリズム、アンチ・グローバリズム、ネオ・グローバリズムという三勢力
オールド (旧) ・グローバリズム とは、これまで世界の経済と政治の「グローバル化」を主導してきた(主としてアングロサクソン系の)大手金融機関や投資家、それを取り巻くメディアや主要先進国の既成政党などのこと
アンチ (反) ・グローバリズム とは周知のように、の金融エスタブリッシュメントが法外な富を手にする反面で、職を失ったり薄給を強いられつつある人びとと、その代弁者になろうとする勢力
いままでのグローバル・ゲームを終わらせるな」「俺たちにもっと儲けさせろ」「世界がどうなろうと構うもんか」とばかりに、ニヒルな調子でいっそう強くグローバル化の推進を主張しているのが、「ネオ・グローバリスト」と呼びうる勢力
ジョン・ポールソンは、つとに「中国は敵国ではない」とはっきり述べてきた。むしろ、「中国との協力関係でアメリカはヨーロッパに比べ大きく出遅れており、儲けを独占されている。われわれにとって、それは大いに迷惑だ」という認識