マッキンゼーで学んだ筆者が、マッキンゼーが重きをおく「生産性をあげる成長」について記載しています。
課題設定力をつけられるような成長は、たしかに必要だろう。
スキル一つ一つも重要だが、どの分野で自分の能力をつかうか、どのような課題を設定するか、というのが最も重要だろう。
20代、30代での成長に関する記載は、大変興味深かった。
人材育成に関しても、「成長するとは生産性を上げることである」というシンプルな信念が貫かれています。成長するとは、新たな知識や技術を習得することでも、英語がうまくなることでもありません。それらを駆使して仕事の生産性を上げることができたかどうか。それがすべてなのです。
欧米のグローバル企業では、経理部門をフィリピン、IT部門をインド、人事部門をシンガポールと最適立地に分散させ、米国や欧州、日本などの高コスト国では管理部門をもたない、という体制をとる組織
ホワイトカラー部門でも、商品のパッケージデザインを変えることで高級感を出して値上げをしたり、人気タレントを使ったプロモーションを行い、いつもは買わない人にもアピールしたり、といった工夫が日常的に行われています。いずれも多くの方に馴染みのある手法でしょう。 ただしここで注意したいのは、付加価値が上がったか下がったかを判断するのは、企業ではなく消費者だということです。たとえ「今までよりはるかにいい商品になった!」と供給者が考えても、それだけの価値を消費者が感じなければ、価格を上げることはできません。 日本企業は「付加価値を上げる=新たな機能を追加すること」、もしくは、「付加価値を上げる=高機能化すること」と考えているかのようにみえますが、欧州の家電メーカーなどは、「機能を絞る」ことで付加価値と価格を上げる手法も多用しています。
働く人が疲弊するのは、付加価値の低い、「自分がこれをやることにどんな意味があるのか?」と疑問に思えるようなオペレーショナルな作業を延々と続けさせられるときです。そしてギスギスするのは、そんな人ばかりが脇目も振らず、時間に追われ焦って働いている職場のほうでしょう。
ビジネスイノベーションを起こすためには、社員に「問題認識力=課題設定力」と「その問題を一気に解決したいという強い動機づけ」をもたせることが不可欠になるのです。これがまさに「Motivation for innovation」であり、そのために大きな役割を果たすのが「生産性という概念を日常的に、強く意識させておくこと」なのです。
仕事の生産性を上げ、目の前の仕事だけでなく今後の成長のための投資や新しいチャレンジもすべて労働時間内でやりきれるようになる、そうなることを目指す——そういう意識に変えていかないと、プロフェッショナルとしての成長には、常に個人生活の犠牲がセットでついてきてしまいます。
全員に同じパターンの人事異動を適用すると、図表16のように、優秀であればあるほど成長できない期間が長くなってしまいます。
「部下の指導をすることで学べることはたくさんある」とはよくいわれることで、私もそう思います。しかし、それよりはるかに多くのことを学べる機会が別にあるなら、トップパフォーマーにはそちらにチャレンジするよう促すべきです。
ストレッチゴールを与える ストレッチゴールとは、ちょっと手を伸ばしたくらいでは届かない高い目標のことです。
比較対象を変える 彼らが自分を比較する対象として、(自分よりできないメンバーではなく)次の三者を意識させましょう。 ・一年前の自分 ・社内の他のトップパフォーマー ・社外の同世代のトップパフォーマー
圧倒的なライバルの姿を見せる 最後に、彼らにはできるだけ社外の卓越したトップパフォーマーの姿を意識させましょう。
三〇代前半までに海外企業との共同プロジェクトに参加した経験のある社員には、決断力、リーダーシップ、洞察力などの面において顕著な(年齢相応のレベルをはるかに超える)成長がみられたのです。その成長振りは、留学や自社の海外支店への赴任といった守られた環境での「海外経験」などとは、明らかに異なるレベルです。
管理職の仕事とは、「チームの生産性向上のためにリーダーシップを発揮すること」に尽きます。
本当の意味で仕事ができる人というのは、少ないインプットで高い成果の出せる生産性の高い仕事のやり方を考案し、その仕事が他の人にも可能になるよう言語化し、移植できる人です。そして自分自身は、どんどん違う仕事にチャレンジしていく人のことです。
情報収集前に具体的なアウトプットイメージをもつために作られるのが、ブランク資料です。
最終的に作り上げるべき調査レポート(アウトプット)の目次を最初に作ります。次に、それぞれのページの中見出しを作ります。
通常は手書きで定規も使わずに作るため、図表27から図表31の五ページなら一年目の新人の場合、一時間くらいで作るのが目安「ブランク資料には入っていないが、もともとの資料作成の目的から考えれば、明らかに重要と思える新情報に出くわした場合はどうすればよいのか?」
新たに見つかった情報を含め、ブランク資料を作り直す」です。大半の会議の達成目標は次の五つのどれかです。 ① 決断すること ② 洗い出しすること(リストを作ること) ③ 情報共有すること ④ 合意すること=説得すること=納得してもらうこと ⑤ 段取りや役割分担など、ネクストステップを決めること
一〇〇人のうち六〇人から七〇人もが「配慮すべき理由」をもつ時代になるという前提での制度設計が必要です。その負担を残りの三〇%の人に移転して解決するのは、もはや不可能
何が問題なのか」という起点の正しい理解が、何より重要だということです。解くべき課題=イシューを取り違えると、どれほど詳細に問題を分解し、膨大な情報収集や多岐にわたる分析を行っても、正しい解にはたどり着けません。
目指すべきは労働時間や残業時間の削減ではなく、「生産性の継続的な向上」なのです。
「コインの裏返し」とは、本質的な課題を放置したまま問題を反転させて解決方法とする、問題解決の悪例を示す言葉です。「営業成績が上がりません → では営業成績を上げるためにもっと頑張ろう」とか、「コストが高く、値引きができないので売れません → ではコストをもっと下げよう」といった提案がそれにあたります。
慢性的な人手不足に悩む介護分野に関しても、「一時間の訪問介護+次の訪問先への三〇分の移動時間」を「一時間の訪問介護+五分の移動時間」に変えることができれば、ひとりのスタッフが一日に訪問できる高齢者の数は五人から七人に増えます。これは高齢者が集合住宅などに集まって住むだけで、介護スタッフの生産性が四割も上がることを意味しています。