お笑いコンビ「ピース」のボケ担当、というよりももはや芥川賞作家としての肩書が有名な、又吉直樹の自叙伝である。
彼が、本当に読書が好きなことが伝わってくる。
筆者にとって、文章を書くことも、ネタを書くことも、原点は一緒である。芸人というコップがいっぱいになったあと、芸人以外の時間で作家活動をしていたのだという。
芸人としては、決して相方に恵まれたとは思えない。しかし、もし彼の相方がもっとツッコミの上手な、又吉を引き出す才能の持ち主であったなら、彼の「芸人というコップ」は決していっぱいにならず、作家又吉は誕生していなかっただろう。