【本】16121『中国4.0 暴発する中華帝国』エドワード・ルトワック

投稿者: | 2016-12-04

まず、鄧小平亡き後の経済成長を、筆者はチャイナ1.0と呼んでいる。
『「チャイナ1・0」は、中国の実際の台頭を平和裏に、しかも周辺国の警戒感を呼び起こすことなく実現した』

そして、チャイナ2.0では胡錦濤を中心に、対外的に強硬な政策を推し進める。
しかし中国の意に反し、中国優位に交渉がすすむと思いきや、『周辺国、関係国の内的・外的バナン寝具への動きを促してしまった』。インドのモディ首相、日本の安倍首相のような、『中国との摩擦も厭わないタフな人物』が台頭した。

反省した中国は、『選択的攻撃(selective aggression)』を開始する。
『「チャイナ3・0」は、大きくわけて二つの要素から成りたっている。  第一の要素は、反撃してきた側への攻撃を止めることである。ベトナムと日本との関係がその典型である。第二の要素は、ヘンリー・キッシンジャーから贈ってもらった「馬」に乗って、それを乗り回すというものだ。この「馬」とは、習近平が使い続けている「新型大国関係」という言葉である。これを別の言葉で表現すると、「G2」』
しかし、アメリカはG2という提案は相手にしていない。しかし、中国は米国当局との会談のたびに国内ではG2成功をアピールし、国民にG2という概念を植え付けている。

そして現在、筆者が提案する、現在の中国にとって最適な政策がチャイナ4.0だ。
それは、『南シナ海の領有権の主張を放棄』、『空母の建造を中止』により、周辺国、アメリカの警戒感を解消することができる、というものだ。なるほど劇的な政策転換だ。

筆者は、中国は戦略が弱いと指摘する。その原因は、『(A)内的なコンセンサスの欠如と(B)外的な理解の欠如』と提唱している。確かに、ウイグル族などの問題をみると、中国は国内に問題が山積している。Bについては定かではないが、筆者が言うには『「天下」という世界観、「冊封体制」というメンタリティー』があると。このために外国への理解が進まないらしい。

中国としては、経済発展を続けるためにはアジア周辺国への影響力を強めたいだろうから、筆者のすすめるような政策はとらないだろう。

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