【本】16077 百姓から見た戦国大名 by 黒田基樹

投稿者: | 2016-07-15

領民の立場からみた資料を元に戦国時代を紐解いた本である。

“中世というのは、毎年毎年、端境期に飢餓が訪れ、それによって多くの人々が命を落としていく、民衆にとっては生存すらが必ずしも保証されていない、過酷な社会”であった。

これにより、
“村では生活できないから戦争に行ったのである。まさに「口減らしの出稼ぎ」であった。それはすなわち、慢性的飢饉のなかでの生存のためであった。”
上記のような状況が生まれた。

筆者も”戦国大名があれほどまで侵略戦争を続けた根底には、慢性的な飢饉状況があった”と指摘している。

武田信玄などは、常に領土の外で戦ったと言われているが、これも攻め込まれることで自国が荒廃することを恐れたためと、攻めこまれないための「攻撃は最大の防御」方針ということだろう。

“滅私奉公のような武士道が生まれるのは、社会が平和になり、さらに大名の改易が少なくなって、再就職が難しくなった状況から”
現代にも示唆に富む言葉である。司馬遼太郎なども、江戸時代になり武士道が”汚れた”と指摘している。

先に挙げた武田氏も、織田信長との戦いで、裏切りを繰り返されたと言われている。しかしこれも”領国の安全保障”を担うのが領主の役割であったために、それが限界となった武田氏を領主たちが見限っただけであり、現在の倫理観で評価するのは間違っていると言えるだろう。

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