“行動分析学は「人間と人間以外の動物のあらゆる行動を対象として、独特の行動観によって規定されている心理学」”である。
心理学というと大変曖昧な印象を受けるが、意外と科学的に学問されている。
面白いのは、人間の行動に関する考察が、医学とはまるっきり違うところ。
“行動分析学の学祖スキナーは、行動分析学で行わない説明として、3つのレベルを指摘した。第1は「神経生理的な説明」であり、主として脳に代表される神経系の機能によって行動を説明しようとする方法”
“第2の原因は「心的な説明」”
“第3は「概念的説明」と呼ばれるもので、「能力や本能や性格といった“仮説構成体”で行動を説明する」ことである。”
つまり、人間の行動が生じる原因を、その人間の「頭脳の働き」や「やる気」や「能力が低い」などという内的要因に求めることはしないという原則だ。
行動分析学では、行動の原因を外的な要因、つまり『「遺伝的な説明」「過去の環境要因による説明」「現在の環境要因による説明」の3つ』に求める。
ある行動が繰り返される要因を、ポジティブフィードバックの出現(好子出現)、ネガティブフィードバックの消失(嫌子消失)などとして考える。
なるべく少ない言葉で定義するため、学習効果などという複合的な条件は考えない。
なかなか一冊ですべてを理解するのは難しいですが、患者行動の変容などにも応用できる考え方かもしれない。
慢性疾患患者の行動が変わらないことを、「あのヒトはやる気がない」「精神力が弱い」などと片付けることはせず、このような手法で考えてみると面白い。
まるっきり概念が違う本は、頭の体操になる。