筆者は小説家。技術の進歩によって機械がヒトに近づいている。
そのなかで、ヒトというものの捉え方が変わるかもしれないという命題を抱きながら、各分野の研究者にインタビューをしている。
SR、3Dプリンタ、人工知能などの専門家に取材をしながら、人間について考察をしていく構成。
アンドロイド研究者の石黒先生の、「最も理想的なインターフェースは、人そのもの」という考えは面白い。『人間が唯一生きている意味はね、自分が生きている意味を探すということ以外はなにもないと思うんです。最初からある価値なんてない』と言い切ってしまうあたり、価値観が全然違うと驚嘆する。
ほかにも、人間の自由意志などはない、と言う研究者や、『僕らが人間という種としてやるべきことは、可能性を増やしていく。ただ、それだけだ』と断言したり、なかなか考え方が極端で面白い。
医療との関連では、様々な技術が出ているのに、医療への応用について「倫理面や安全面の縛りがきつすぎる」と感じている研究者が多い。
一つには、患者への悪影響を懸念するものだろうが、もう一つの理由は、医療者側の無理解もあるのだろう。
頭から否定するのではなく、どのように利用できるのかを考えていきたい。