”フラワーアレンジメントでは、たくさんの花を絨毯のように敷き詰めて、好みの造形を作り上げます。フレンチと同じく「足し算」の美です。これに対し、いけばなでは素材となる花の個性を引き出すため、フラワーアレンジメントほど多くの花を用いません。さらに、余分な枝葉を削ぎ落とし、花の輪郭を際立たせます。いけばなは「引き算」の美、日本料理と同じです”
”いけあげたときには蕾であった花が、次第にほころび、盛りを経て、やがて凋落を迎える。花の命の移ろいを最後まで見届けるのが、いけばななのです”
いけばなとはなんぞや、という疑問にわかりやすく応えてくれる本。陰陽思想の強い影響や「引き算」「うつろい」という概念がフラワーアレンジメントとの大きな違いであるという論はわかりやすい。