【まとめ】所要時間は120分。世界各国の価値観について、理解が深まる一冊。世界相手に仕事をする人も、しない人でも役に立ちます。
【筆者紹介】エリン・メイヤー
フランスとシンガポールに拠点を置くビジネススクールINSEADの客員教授で、様々な文化同士の相対的な関係について講演などを行っているようです。
【感想】
日本人は時間に正確だがイタリア人はいい加減、アメリカ人は直接的な表現を好むが、日本人はオブラートに包むので何を言っているかわからない…このようなステレオタイプについてマジメに取り組んでいるのが筆者です。筆者は、8つの指標で世界各国の文化を比較しています。
① コミュニケーション(ローコンテクストvsハイコンテクスト)
② 評価(直接的なネガティブ・フィードバックvs間接的なネガティブ・フィードバック)
③ 説得(原理優先vs応用優先)
④ リード(平等主義vs階層主義)
⑤ 決断(合意志向vsトップダウン式)
⑥ 信頼(タスクベースvs関係ベース)
⑦ 見解の相違(対立型vs対立回避型)
⑧ スケジューリング(直線的な時間vs柔軟な時間)
それぞれの詳しい話は本書に譲るとして、文化は相対的な関係でみるべきということです。つまり、「ロシア人は階層主義で全然フランクに話せない」と嘆くアメリカ人が、オランダでは「あのー…一応私が上司なんですが…」とあまりの平等主義に唖然とする、ということが起こるのです。
また、秀逸な点は、コミュニケーションと評価を分けている点です。アメリカ人は、ローコンテクストなコミュニケーション(つまり、行間を読まない、字義通りの言葉)を好みますが、他者への評価については間接的なフィードバックをするようです。「いいことを三点挙げてから改善点に触れる」というスタイルです。
したがって、アメリカ人は日常生活では直接的な意見を言いますが、こちらの意見に対してネガティブな評価をずけずけ言うわけではない、という点に注意が必要です。
日本はやはりこのなかでもかなり極端な文化にあることが分かります。
ハイコンテクスト、間接的なネガティブ・フィードバック、合意志向、対立回避型、直線的な時間
上記の5分野では、世界でもトップレベルです。欧州、アジアを含め数多くの国をリストアップしているので、外国人と仕事をする機会のある方は、持っておいて損のない一冊です。