【まとめ】
所要時間は1時間。
池上彰の本を読んだ後に読むのがおすすめ。
【筆者紹介】
富坂 聰
筆者は北京大学へ留学歴のあるジャーナリスト。中国研究者として、様々な媒体で中国について書いています。
【感想】
習近平の堕落追放政策など、現在の中国について書かれています。
筆者は「現政権は本気だ」という立場です。
あらかた政敵、敵対する官僚が排除された後には強権的な独裁政権が居座るのは歴史の知る所。元来、汚職取締りは、田中角栄しかり田沼意次しかり政敵追放に使われることも多いように思いますが、現在の中国はどうなのでしょう。
ネット民、メディアの影響力も増していると書いてあります。
しかし、これは官僚の汚職追求という、現政権の流れに沿っている間はお目こぼしされるでしょう。
もし官僚の粛清があらかた終わり、庶民の追求が習近平の身辺に及んだ場合、即座に弾圧に変わることは目に見えています。
地方では、地域警察とマフィアが一体化した「警匪一家」という状態が続いているそうです。
そもそも、『中国でいう同郷は連帯感と結束力が比べ物にならないほど強い。それは単なる地元意識というよりも、親や親戚の顔まで思い浮かべられるほど濃厚で、さらに現実的な利害によっても結びついている。』
この連帯意識が華僑などの構造を産んだのかもしれません。
また、昨今の移住事情も面白いです。
中国では、田舎→都市への移住が自由に出来ません。
また、金持ちへの視線が厳しくなっている今、海外移住を図る富裕層がいるそうです。
『裸官とは、最初に子供を留学させて現地の永住権を取得させ、次に妻が行き、資産を持ち出したのちに最後に自分が手ぶら(裸)で逃げ出すことからこう呼ばれる』
子供の留学を使うとは、なかなか手が込んだやり方です。
経済成長よりも権力の集中化に力を注ぐ現政権、どうなっていくか見ものです。