【本】世界史の極意

投稿者: | 2015-07-04

わかりやすく、世界史について書いてある本で勉強になりました。
歴史上の出来事がフラクタル構造になっているとよく言われます。
それを基に現在について考察しているので、とても分かりやすいです。

資本主義は、重商主義→自由主義帝→国主義(独占資本主義)国家→新自由主義という形で変遷してきたそうな。
自由主義の背後には常に覇権国家の存在があり、それが弱体化している現在は帝国主義になりつつある。TPPも本質はブロック経済で、世界的に保護貿易に梶を切っている状況だと筆者は主張します。 21世紀の帝国主義は植民地を求めず(維持コストが高いため)、全面戦争を避ける(世界大戦はウンザリ)のが特徴だと。

スコットランド選挙時に、沖縄の地方新聞のみが取り上げ方が全然異なったという内容は驚きでした。日本にも、ナショナリズムの問題があるということは自覚しなければいけません。愛国心などと言うだけでは溝が深くなるばかり。

ヨーロッパについては、二〇世紀の大きな課題は、ドイツという大国をどのように世界に糾合するのか、だったと筆者は述べます。その結果EUができましたが、ドイツの糾合には失敗しています。なぜなら、ユーロ危機以降、経済的にはドイツだけが一人勝ちし、それ以外のヨーロッパ諸国とは利益相反になっているからです。

19世紀末から戦間期にかけて、金融資本主義が引き起こした貧困や社会不安に対して、大きく三つの処方箋が出されたと筆者は述べます。
1. 外部から収奪する帝国主義
2. 共産主義→歴史上は失敗に終わっています。
3. ファシズム: 人々を動員することで、みんなで分けるパイを増やしていく運動

筆者の主張は『日本の選択は帝国主義とファシズムを織り交ぜて、アイロニカルに述べるならば、「品格ある帝国主義」を志向しなければならない』ということです。

『外部に与える痛みを極小にして、日本国家の利益を図る。──そういう意識を持つことが品格のある帝国主義への第一歩』とあります。
沖縄という外部領域に対しての配慮のなさを見ると、まだまだ道のりは長いと感じます。

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