宇沢弘文氏の、社会的共通資本に関する本だ。
社会的共通資本の管理について、著者はこう述べる。
『社会的共通資本は、それぞれの分野における職業的専門家によって、専門的知見にもとづき、職業的規律にしたがって管理、運営されるものである』
決して、『政府によって規定された基準ないしはルール、あるいは市場的基準にしたがっておこなわれるものではない。』
大学については、
『大学はこのように、一つの文明社会において、その象徴的な存在として、エンテリックな知識の蓄積を、自由な知識欲と職人気質という、2つの人間的本能にもとづいて追求する場』であると述べる。
何度も述べるが、医療という社会的共通資本の管理については、答えが出ない。
宇沢氏が指摘するように、政府ではないだろう。一方で、現時点で職業的規律にしたがって運営されている組織もない。
しばらくは、管理などという夢物語はやめたほうがよいだろう。