【本】16104『経済学は人びとを幸福にできるか』 by 宇沢 弘文

投稿者: | 2016-10-10

社会的共通資本の概念を提唱した宇沢弘文氏に関する書籍だ。
社会的共通資本とは『一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置』を指す。

『リベラルなというのは、教育なら教育の専門家が専門的な判断、そして専門的な規範を守って、あるいは医療なら医療に一生を捧げて、日本の教育制度や医療制度をすばらしい形で子どもたちの世代に残す』
ここは全面的に賛成するが、それは専門家が専門的な規範を持っていることが前提となっている。
現在の医学界は、果たして規範があると言えるのだろうか。
論文捏造で責任を問われている教授たちが、問題発覚後に学会の要職に選任されるなど、自浄作用は期待できないのかもしれない。
規範なき医学界に、医療制度をマネージする資格はない。

『病院をナショナル・ヘルス・サービスが管理し、すべて官僚的なコントロールのもとに置かれていたわけです。それが医師の職業的な意識と矛盾』
ここはかなり身近な意識として感じました。
イギリスの医師が、NHS導入後に志を失い、臨床を離れたというのです。
日本でも同じことが起きるだろう。

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