前回の明治維新版。
江戸時代の構造的な経済不況に焦点をあてた本だ。
江戸時代は、幕府が全国を支配している建前だが、幕府の徴税権は天領に限られていた。
さらに金本位制にもかかわらず金が枯渇しつつあったため、デフレ傾向は進んでいく構造にあった。
面白いのは、教科書で賞賛されている経済改革をこき下ろしているところ。
確かに、田沼意次による商業振興策の次に寛政の改革を行ったせいで、商業の発展が抑えられた。
そもそもその根拠は、山師が活躍するような世の中はよくないという思想上の問題なので、経済よりもこのような思想が優先される時代だったのだろう。
緊縮財政では経済が発展することはない、というのは経済学者がたびたび指摘するところ。ただし、IMFは緊縮財政を主張している。このあたりは勉強不足にしてよく分からない。
産業政策や価格統制というのはいつの時代にも成功したためしがありません。20年にも及ぶ努力もむなしく、吉宗の米価高騰政策はことごとく失敗しました。
商人として活躍する傍ら、外交交渉や情報収集活動にまで従事する
海商たちのビジネスモデルは、幕末に活躍した坂本龍馬の「海援隊」とそっくりです。