【本】17069『「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~』小川 さやか

投稿者: | 2017-04-26

インフォーマルな経済、ヤミ経済について書かれた本だ。

アフリカでは専門スキルを持つ人材が育っていないため、多くの人間が場当たり的な商売をしている。
その結果、その状況で最もやりやすい仕事をするため、場合によってはインフォーマルな経済で生きることになる。

しかし、「法的な違法性 illegal」と「道義的な違法性 illicit/合法性 licit」は別物らしい。
だから、ブランドのニセモノを売ってもドラッグの売人にはならない。

事例に掲載されているアフリカ人夫婦の人生は、ある意味たくましい。

そして、アフリカのインフラ開発に、国内の余剰生産力を投下する中国だが、その大規模開発にあわせてインフォーマル経済の担い手まで流入しているそうだ。
フォーマル面でもインフォーマル面でも手を抜かない中国人、現地にとっては「やりすぎ」と批判的なようだが、さすがだ。

日本のインフラ投資が、「脇が甘くてつけいりやすい」という理由で歓迎されるとしたら、情けない。

オルタナティブな生き方として求める研究は、たいていの場合、資本主義経済、とくに新自由主義的な市場経済へのアンチテーゼを標榜する。限られた時間で生産性を高めるといった効率性の追求や、計画的な経営や経済行為を模索しなくて、経済が発展するわけがない、と彼らは考えているからだ。  しかし、こうした二項対立図式をよそ

「法的な違法性 illegal」と「道義的な違法性 illicit/合法性 licit」

は「半年そこらで壊れる中国製品は不経済だが、五年、一〇年壊れない日本の高すぎる製品は意味がない」

上述したタンザニアにおける中国系「インフォーマルセクター」の出現である。

卸売店や小売店ならともかく、中国系の行商人や路上商人がいるのだと最初に耳にしたとき、わたしはにわかには信じられなかった。

外国から不法労働者が押し寄せる場所はもはや先進諸国に限定されないのだと知った衝撃は大きかった。

ではなぜ、中国人の同じ行為は非難されるのか。わたしはここにこそ、インフォーマル経済の道義的な違法性と合法性との境界を考えるうえで重要な手がかりがあると考えている。

第一に、「中国人は販売相手に合わせて商品の品質を変えている」が、「異なる品質の商品の売り方が道義に反している」というものだ。

第二の返答は、模倣や詐術自体は悪いことではないが、中国人は「やりすぎだ」と主張するものである。

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