知の共有に関して、歴史的な考察を加えた一冊。
現在では、『「知識は無料で提供されるのが当然」という考えが支配的』だが、昔は違った。
そもそも、知識は権力の源泉でもあった。
例えば、『聖職者は、神の教えを独占することで人々を支配してきた』。
しかし、技術や経済の発展によって、知識が拡散するようになった。
『知識の拡散に影響を与えた第1の要因は、知識を伝えるための技術です。活版印刷の発明によって、知識の伝達は飛躍的に容易になりました。 第2の要因は、知識を独占したいとする専門家集団です。経済の発展に伴って、技術的知識をギルドで独占して伝えるというそれまでの方式では対応できなくなり、知識の公開が促されました。』
ささやかな抵抗もあったが、結局無駄な抵抗であった。
『最後まで知識の公開が遅れたのは、教会や大学です。ラテン語の使用という人為的な障壁を設けて、知識の拡散を防ごうとした』
インターネットの登場によって、知識は資本財から最も価値が高い消費財になりうるようになった。
人工知能がいくら発達しても、人間が知識を追い求めることには変わらないだろう。
なぜなら、それが楽しいからだ。