【本】17116『パンダ-ネコをかぶった珍獣』 倉持 浩

投稿者: | 2017-12-01

月並みでイヤなのだが、私が一番好きな動物はパンダ。
笹しか食べない(動物園では果物食べる)、腸内細菌叢(実はセルロース分解できていない説)とか、ツッコミどころが多すぎるのが好み。

この本は主に形態学からのアプローチ。笹をつかむのに親指は使っていない(霊長類以外が把握動作できるなら大発見)とか、上野動物園でのパンダ飼育についても書かれている。

和歌山のアドベンチャーワールドの飼育員の話も聞いてみたい。

現在は、ジャイアントパンダはクマ類に近く、レッサーパンダはむしろアライグマに近いというのが一般的な見解となっている。

パンダの歯や前肢は、現存する他のクマ類と比べて明らかに草食に適した形になっている。 一方で不思議なのは、食べたものを消化する消化器官のほうは、現存するパンダと一般的なクマの仲間とでそう変わらないということ

2011年のリーリー・シンシン来園時に、大きな変化があった。いわば、「北京式から四川式へ」というべき変化だ

トレーニングの姿勢として、最近の主流になってきているのは「ハズバンダリートレーニング」というものだ。これはつまり、動物の自主的な行動を「褒めて伸ばす」訓練である。本来は動物が行わない行動を引き出すために、「弱化(罰)」を用いるのではなく、動物の前向きな行動を「強化(報酬)」することによって学習させるの

パンダの場合、hCGにあたる胎盤性のホルモンの検出方法が確立されていない。だから、ヒトのように簡便な早期妊娠診断ができないのだ

では「シンシンが育児放棄」などと騒がれたが、そう思っている飼育係は一人としていない。今まで感じたことのない妊娠期の体の変化、初めての出産で、シンシンにとっては不安と緊張の連続だったにちがいない。それにもかかわらず子が鳴けば抱き上げ、出産直前まで食欲旺盛だった彼女が、2、3日も飲まず食わずだった。極度の寝不足と空腹だったろう。飼育係も24時間態勢で夜勤が続いたが、飼育係は交代できるものの、シンシンに代わりはいないのだから

我々の試行錯誤を陰で支えてくれているのは、四川省の中国保護大熊猫研究センターからたびたび来てくださっている中国人スタッフの方々だ

パンダを野生復帰させるために考案されたのが着ぐるみだ。ふざけているわけでも、遊んでいるわけでもない。復帰トレーニング中のパンダと接するときに、できるだけヒトの気配を消すために着るのだ。飼育係は、時にはパンダに、時には樹木に(!)なって、ヒトの姿を彼らに印象づけないよう努力している。着ぐるみ自体も、少しずつ改良が加えられているようだ(図40)

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