”僕たちは「できるけどやらないだけのことさ」といつも自分に言いきかせているわけだが、これは「できない」というのを別な言葉で言っているだけのことなのだ。”
”それこそネコの地図を一五分も見ればわかることを、いちいち暗記なんかしているから時間がいくらあっても足りないのだ。”
”だから僕は学生たちを「教える」ということが、僕の生命をつないでくれるものだと思っている。”
”僕はもう決して二度と「専門家」の報告をうのみにするような間違いはしたくない。もちろん人間の一生は一回きりしかなく、その間さまざまな間違いもしでかすが、おかげでしてはいけないということも学ぶものだ。だがやっとそれを学んだころには、もう人生は終りなのかもしれない。”
”何だ! やってみれば何のことはなかったんだ。僕の潜在意識の中に、いろいろなものがわだかまっていて、そんなことを聞くのは何となく悪いような気がしていただけのことだったのだ。”
最初は単調に思えるが、じわじわと面白くなってきて、上巻の後半くらいからは一気に読めた。天才ならではのエピソードの中に、ものごとの本質をつくような言葉がでてくる。こういうふうにもっと自分に正直になりたいと思った。名著!