【本】16032「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論 by 酒井崇男

投稿者: | 2016-04-05

人材戦略に関する本。人材の評価について厳しいが、その言葉には一理ある。

現在において、利益を生み出すのは設計情報の質である。
トヨタ生産方式は「売れるモノを効率的に作る方法」であり、これはもはや当たり前である。

「売れるモノ」を作り出す力が最も重要である。
トヨタの真の強さは、質の高い設計情報を作り出すための人材育成である。

筆者はそのような人材をタレントと呼ぶ。

タレントとは、”目的的に仕事ができる人材であり、優れた知識獲得能力・地頭力・洞察力を持つ。具体的には、複数分野の専門知識に精通し、目的達成に必要となる知識の領域を短期間に拡張できる能力を持つと同時に、各分野の専門家集団を動かすための論理的思考能力とコミュニケーション能力を併せ持つ。広くて深い基礎知識と真の基礎の知識を持つ”。

複数の専門知識に精通しているからこそ、幅広い人材とのコミュニケーションが可能である。その結果、各プロフェッショナルたちを動かして創造的な仕事を行うことができる。

また、人間の労働を、「情報を収集し」 「情報を創造し」 「情報を転写し」 「情報を発信する」で分類している。

医師などは本来「情報を転写」する労働である。筆者の言葉を借りるならば、”工場や店舗と同じ、タスク処理型の仕事と労働”である。したがって、”工場労働と同様、設計情報「転写プロセス」の生産性追求と同じ評価方法”を用いるべきというのが筆者の意見だ。

厳しいが、医師が新たな価値を生み出していないとすると、筆者の意見も一理ある。知識を転写するコストを削減するべく、医師が効率よく患者を診察できるような発展を遂げるだろう。さらに、AIなどを使えば、医師の担う機能も一部は可換だ。

この流れは必然だから、その流れから抜け出すためには、「新しい価値を生み出す」ことが必要になるのだろう。

“「B級人材はC級人材を採用する」、「A級人材はA級人材と知り合いである」”

“売れる無形資産(モノ・サービス・体験)が開発されなければ、売上は増えないのである。つまり、本書で述べてきた三つの情報資産(設計情報・ノウハウおよびそれらの仕掛品、またそれらを生み出す人材の頭脳)をいかにして創造し、組み合わせ、売上・利益を生み出すかが問題なのだ。三つの情報資産の資産効率が旧来の財務諸表に結果として出てくる資産の効率より先”

“「米国は自動車では負けたが農業では勝っている。日本の農民は怠慢だ。十分に働きもせず政府に補助金ばかり要求している。しかし、米国の農民は勤勉だ」”(Japan as Number Oneの著者エズラ・ヴォーゲルの言葉)

“優れたタレントの特徴は、「目的意識」と、目的を達成するための「知識獲得能力・地頭・洞察力・論理的思考能力・コミュニケーション能力」の高さである。”

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