軽度の睡眠障害持ちなので、読んでみた。
就寝後、最初の90分が一番大事。仮眠は20分くらいが効率的。
寝る90分前くらいに入浴するのが良い。
レム・ノンレムの周期にかかわらず、睡眠の質は、眠り始めの90分で決まる。「最初の90分」さえ質が良ければ、残りの睡眠も比例して良質になるのだ。
東京の平日の平均睡眠時間は5・59時間。世界の都市と比べて断トツで少ない。日本では、都会に住む人ほど眠れていない
エンペラーペンギンは、ヒナが孵化するまでの1〜2か月、ほとんど眠らない。
ショートスリーパーは遺伝
なぜ、3週間、4週間たってからパフォーマンスが上がったのかといえば、実験前の睡眠負債を返すのに、それだけの時間がかかったからにほかならない。
とりわけ最初の90分間のノンレム睡眠は、睡眠全体のなかでもっとも深い眠りである。この段階の人を起こすのは非常に難しく、無理に起こすと頭がすっきりしない。
ショートスリーパー以外の普通の人は、最低でも6時間以上眠るのがベストだ
睡眠の臨床医たちは、「まず患者に睡眠生理の説明をしてから、認知行動療法に移ると効果が上がる」と述べている。
だが、学習後に睡眠をとることで記憶の定着が進むという知見は多い。
レム睡眠中、エピソード記憶(いつどこで何をしたか)が固定される。
入眠直後のもっとも深いノンレム睡眠のときに、海馬から大脳皮質に情報が移動し、記憶が保存されるという
とりわけグロースホルモン(成長ホルモン)は、黄金の90分にもっとも多く出る。大人の場合、このホルモンのおかげで筋肉や骨は強くなり、代謝が正常化される。 グロースホルモンと構造が近い、生殖や母性行動に関与するプロラクチンも最初のノンレム睡眠で多く分泌される。 皮膚の保水量は睡眠で上がるの
実際、インフルエンザの予防接種でワクチンを取り入れても、睡眠が乱れていると免疫が確立せず、ワクチン接種の効果が認められないという報告もあるほどだ。
ところ、アルツハイマーになりやすい遺伝子をもったマウスの睡眠を制限すると、アルツハイマーの原因物質のひとつ「アミロイドβ」がたまりやすくなることがわかった。これは、眠っていれば正常に分解・排出され、蓄積しないはずの脳の老廃物だ。
「最初の眠気のタイミングを絶対に逃してはいけない。眠くなったらとにかく寝てしまわないと、その後、深い眠りは訪れず、いくら長く寝てもいい睡眠にはならない」
健康な人の場合、目を閉じてから10分未満で入眠する。
何時間寝ようが、最初の90分が崩れれば、残りも総崩れになってしまうという
眠気があるならまず寝てしまい、黄金の90分が終了した最初のレム睡眠のタイミングに起きて、資料作りにとりかかる
大切なのは皮膚温度と深部体温の差を縮めること。
入眠時に意図的に皮膚温度を上げて、深部体温を下げる。この「上げて、下げる」というのが良質な眠りには欠かせない。
で、深部体温は上がった分だけ大きく下がろうとする性質がある。なので、入浴で深部体温を意図的に上げれば入眠時に必要な「深部体温の下降」がより大きくなり、熟眠につながる。
0・5℃上がった深部体温が元に戻るまでの所要時間は90分。
ゆえに「忙しくて、寝る90分前に入浴をすませるなんて無理だ!」と言う人は、深部体温が上がりすぎないように、ぬるい入浴かシャワーですませよう。
温泉浴のほうが普通浴よりも深部体温が大きく上がった。熱
ナトリウム泉は入浴後の疲労感が強い。いわゆる「湯疲れ」や「のぼせ」が起こってしまうのだ。「湯疲れ」には複数の原因があるが、「発汗による水分ミネラルの流出」「入浴前後の血流量変化」などで生じる。 その点、炭酸泉は、普通浴と同じように湯疲れがない。
なので、「足湯」で足の血行を良くして熱放散を促せば、入浴と同等の効果があるのだ。
足湯の目的は「足の血行を良くして、熱放散を活発にすること」だから、マッサージでも同等の効果は期待できる。ただし、自分で足をマッサージすると体に力が入ってリラックスできなかったり、やり方を工夫して脳が疲れたりと、睡眠には向かない。
掛け布団より敷布団のほうが材質による違いは大きい。
ので、入眠前半の深部体温が0・3℃も違う(高反発のほうが低い)という
環境が変わると脳が反応して、人は不眠症になる可能性がある
が、ブルーライトの影響を睡眠に及ぼそうと思えば、かなり画面に顔を近づけてジッと見続ける、ぐらいのことをしないといけない。
スマホやパソコンが睡眠に影響を与えるのは、ブルーライトというよりも、操作で脳を刺激してしまうことにあるといえる。 基本は、寝る前は何も考えないこと。いってみれば「眠りの天才は頭を使わない」のだ。いつもの環境で頭を使わない、そんな脳のスイッチを紹介していこう。
単なるリズムのある揺れでは眠りはやってこない。パッシブな状況が不可欠である。受け身になってリズムに身をまかせてこそ、入眠モードになるのだ。
カフェインが人を眠らせるアデノシンの働きを妨害するため
強力に覚醒を引き起こす「オレキシン」という神経伝達物質は、覚醒だけでなく摂食(食べること)にも関与して
サーカディアンリズムの影響を受けて覚醒物質の活動が弱まってくると、「睡眠圧の上昇」が「覚醒物質の活動」を上回ることになる。 この「睡眠圧の上昇」が「覚醒物質の活動」を逆転する状態こそ、眠気が増してくるときに脳内で起こっている現象である。
では、通常就寝する時間の直前から2時間前あたりまでがもっとも眠りにくいこと
入眠の直前には脳が眠りを拒否する「フォビドンゾーン(進入禁止域ForbiddenZone)」というものがある。
「いつもどおり寝て、睡眠時間を1時間削る」ほうが、すんなり眠れて質が確保できる可能性が高い。
1日で楽にずらせる時間は1時間。
1時間早めに寝たいなら、いつもより1時間早くお風呂に入って、ストレッチなど軽い運動を組み合わせて体温を作為的に上げることをおすすめする。
人は14〜16時間ほど覚醒が続けば睡眠圧が高まり、自然と眠くなってくる
網膜で470ナノメーターという単位の波長を感知すると、覚醒度を上げたり、パフォーマンスが上がることが最近の研究によりわかっている。
人間の場合、光がまったくないとまともな生活ができず、発狂する可能性があるので、軽作業ができる程度の薄明かりで同じ「フリーラン」実験をおこなう。そのため、光の影響を完全に除去できず、よく「人間の体内リズムは25時間」といわれていた。 しかし、今は「24・2時間」と、それより短いと考えられている。
のは、「起床のウインドウ(余白)」をつくる方法。 具体的には、アラームを2つの時間でセットするというものだ。
朝方であれば、レム睡眠の時間は長くなっているし、20分前後で「ノンレム→レム」の切り替えがおこなわれている。
1回目のアラームは「ごく微音で、短く」セットす
5〜7時くらいの時間帯であれば、生理的にレム睡眠が増えている
メラトニンのサプリを飲んで効果があるのは、おもに高齢者。
裸足で皮膚温度を下げ、サーカディアンリズムで自然に上がっている深部体温と皮膚温度の差をさらに広げる
とくに冬場には、今まで避けていた洗面台回りやキッチンの「冷たい床」が覚醒のスイッチとなってくれる
脳を目覚めさせるために、手を冷たい水で洗う。
血中のカフェイン濃度は半分になるまで約4時間
絶食するとオレキシンの分泌が促進されるが、食事をすればオレキシンの活動は低下し、覚醒度も落ち着くこと
夕食を食べないとオレキシンの分泌が促進され、食欲が増大するうえに、覚醒して眠れなくなる可能性が高い
オレキシンは、交感神経の活発化や体温上昇も引き起こす。
時差ぼけを防ぐには、飛行機に乗っている間はもちろん、出発前から現地の時間に合わせて行動することだ。とくに、出発直前の食事を、現地時間に照らし合わせて「とるかとらないか」を決めるのは効果がある
昼食は午後2時ごろに起きる入眠潜時の短縮(眠気の襲来)には関係ない」
あまりに重い食事をとると血糖値にも影響が出て、極端な場合はオレキシンなどの覚醒物質の活動を抑えてしまう可能性もある。私は、仕事を始めたら昼は食べないという習慣を続けており、それが体質に合っているようだ。
ランチは軽めで、ヘビーミールを避ければ、午後の倦怠感防止に役立つはずだ。また、食べるときも、4章でお伝えしたように「嚙む」ことを意識してほしい。
会話は覚醒の強いスイッチ
ヒトの場合、前述のように14時ごろ眠くなるという実験結果が出ているが、このアフタヌーンディップは、霊長類には避けられない睡眠パターンなのかもしれない。
入眠にはさまざまな条件が必要だが、「眠たい」ときは体温や脳の眠りの条件が整った数少ない瞬間だから、実はチャンスタイムだ。 仮眠5分前に温かいものを持つなどの工夫をして手を温め、スムーズに深い仮眠に入れれば、眠気をこらえて起き続けるよりもパフォーマンスが上がるだろう。
を。「20分」程度の仮眠でも、ある程度リアクションタイムが回復する
こうした要素を考えると、「仮眠をとるなら20分程度」とするのが良さそうだ。