【本】17011『世襲格差社会 – 機会は不平等なのか』橘木俊詔 参鍋篤司

投稿者: | 2017-01-22

社会が安定化すると、格差は固定化するようだ。一時はやったピケティの本でも、r(資本収益率)>g(経済成長率)であることを示し、格差が拡大傾向にあることを示している。
資産家(権力層)にとってはその方が合理的であるため、これが資本主義社会の宿命なのだろう。余談だが、ピケティの著作は確かに流行ったが、日本人の資本運用が増えたとは聞かない。NISAなど導入しても盛り上がらない日本株式市場のために、政府系ファンドが買い支えする体たらくである。
投資活動を行わない労働者は、マルクス時代と変わらない存在であり、格差が固定化するだけなのだが。

本書では世襲制の職業を例にあげて、格差が固定化している現状について書いている。
主な例は、医師、政治家などだ。

医師の世襲は私の周囲には少ないが、確かに多いようだ。大学を卒業するだけでそれなりの収入が確保でき、しかも就職難の心配がないという意味では、親が子にすすめるのも無理はない。開業医などは、初期投資が大きいため、子供世代まで巻き込んで返済を行うのは当然とも言える。
しかし、所詮は税金で収入を得る身である。そう永くはもたないだろう。

日本政府は教育に投資を行わない様子である。機会の不平等はますます広がるだろうし、それを放置するようであればこの国の将来は暗い。

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