今週のLancet(Feb 14)




今週のLancet(2/14)

今週のLancet(2/14)

急性虚血性脳卒中におけるミノサイクリンの有効性と安全性(EMPHASIS試験)

Known
ミノサイクリンは多標的の抗神経炎症作用を持つと考えられており、小規模な研究では虚血性脳卒中に対する有益性が示唆されていたが、大規模な臨床試験による強固なエビデンスは不足していた。
New
中国の58施設で、発症72時間以内の急性虚血性脳卒中患者1724人を対象に、ミノサイクリン(初回200mg、以後100mgを12時間ごとに4日間経口投与)またはプラセボを投与した。90日時点での良好な機能的予後(mRS
0-1)は、ミノサイクリン群で52.6%、プラセボ群で47.4%であり、ミノサイクリン群で有意に高かった(調整リスク比 1.11, 95% CI 1.03-1.20;
p=0.0061)。症候性頭蓋内出血などの安全性に関する懸念は観察されなかった。
Future
本知見を他国でも確認すること、および重症例や軽症例においても同様のベネフィットが得られるかを検証する必要がある。

スタチンの副作用に関するメタ解析:製品ラベル記載の副作用の再検証(CTT Collaboration)

Known
スタチンの副作用として、添付文書には認知機能低下、うつ、睡眠障害、勃起不全などが記載されているが、これらは主に非ランダム化、非盲検化されたバイアスの入りやすい研究に基づいていた。
New
19の二重盲検ランダム化比較試験(123,940人)の個別患者データを解析した結果、スタチン投与により有意に増加したのは肝トランスアミナーゼ異常(特にアトルバスタチン80mg/日などの高強度例)、尿成分の変化(蛋白尿)、浮腫のみであった。認知機能低下、うつ、睡眠障害、末梢神経障害など、添付文書に記載されている他の62項目の副作用については、有意なリスク増加は認められなかった。
Future
現在の製品ラベルや公式情報の記載は信頼できるエビデンスに基づいて修正されるべきであり、患者や医師が正確な情報に基づいて意思決定を行えるようにする必要がある。

AI搭載聴診器による心疾患の早期検出(TRICORDER試験)

Known
心不全や心房細動、弁膜症(VHD)は早期発見が重要だが、特にプライマリケアの段階では診断が遅れやすく、救急搬送後に初めて診断されるケースが多い。AI搭載聴診器はこれらの疾患を検出する能力が高いことが報告されていた。
New
英国のプライマリケア診療所205施設を対象としたクラスターランダム化比較試験において、AI搭載聴診器の導入は、人口レベル(意図した治療群全体)では心不全などの検出率を有意に向上させなかった。これは導入率の低さやワークフローへの負担が障害となったためである。一方で、実際にAI聴診器を使用された患者(Per-protocol解析)では、心不全、心房細動、弁膜症の検出率が有意に向上した。
Future
AIツールの導入において、単なるアルゴリズムの精度だけでなく、電子カルテとの連携など、実際のワークフローにおける障壁を克服する実装戦略が重要である。

米国における食糧支援(SNAP)削減と健康への影響

Known
SNAPプログラムは米国の主要な栄養支援制度だが、近年その予算削減が進められている。栄養支援の削減が実際の臨床アウトカムに与える影響は十分に解明されていなかった。
New
SNAPの特別加算(緊急割当)を早期に終了した州と継続した州を比較する自然実験的解析(約1400万人対象)を実施した。特別加算の終了後、全死因死亡に変化はなかったが、4四半期後から全死因入院が有意に増加した。これは食事の質の低下が慢性疾患を悪化させたこと、また食費の負担増加により医療への支出が圧迫されたことなどが要因と考えられた。
Future
公的栄養支援プログラムの縮小は、高所得国であっても急速に健康アウトカムの悪化(予防可能な入院の増加)を招く可能性があり、政策決定における留意が必要である。


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