今週のNEJM (Feb 12)
Sibeprenlimab in IgA Nephropathy — Interim Analysis of a Phase 3 Trial
- Known: IgA腎症は世界で最も多い原発性糸球体疾患であり、B細胞由来のサイトカインであるAPRIL(A proliferation-inducing
ligand)がその病態形成に重要な役割を果たすと考えられている。SibeprenlimabはAPRILを選択的に阻害するヒト化IgG2モノクローナル抗体である。 - New: 510名のIgA腎症患者を対象とした第3相試験(VISIONARY試験)の中間解析において、Sibeprenlimab(400mg
4週毎皮下投与)はプラセボと比較して、9ヶ月時点の24時間尿蛋白/クレアチニン比を有意に低下させた(Sibeprenlimab群 -50.2% vs プラセボ群
+2.1%、調整後の幾何平均差:-51.2% [96.5% CI, -58.2 to -42.9]; P<0.001)。安全性プロファイルは良好であった。< /li> - Future:
APRIL阻害薬であるSibeprenlimabは、IgA腎症における蛋白尿を強力に減少させることが確認された。現在進行中の24ヶ月間にわたるeGFR傾斜(年間低下率)の解析結果により、長期的な腎保護効果が明らかにされることが期待される。
出典: N Engl J Med 2026; 394: 635-646
A Phase 3 Trial of Atacicept in Patients with IgA Nephropathy
- Known: APRILに加えて、BAFF(B-cell activating
factor)もIgA腎症の進展に関与している。AtaciceptはAPRILとBAFFの両方を阻害するTACI-Fc融合タンパク質であり、病原性のあるガラクトース欠損IgA1(Gd-IgA1)の産生を抑制する。 - New: 第3相試験(ORIGIN試験)の中間解析(203名)において、Atacicept(150mg
週1回皮下投与)は36週時点の尿蛋白/クレアチニン比をベースラインから45.7%減少させた(プラセボ群は6.8%減少)。群間差は41.8%(95% CI, 28.9 to 52.3; P
<0.001)であり、有意な蛋白尿改善を示した。有害事象の多くは軽症から中等症であった。< /li> - Future:
APRIL/BAFFの両経路を遮断するAtaciceptも有望な治療選択肢となる。先行するSibeprenlimabのデータと合わせて、IgA腎症におけるB細胞標的療法の重要性がより強固になった。
出典: N Engl J Med 2026; 394: 647-657
Therapy for Atrial Fibrillation in Patients with Drug-Eluting Stents
- Known:
薬剤溶出性ステント(DES)留置後1年以上経過した心房細動(AF)患者において、非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)単剤療法を推奨するガイドラインはあるが、抗血小板薬(クロピドグレル)併用療法と比較した有効性と安全性のエビデンスは十分ではなかった。 - New: 韓国で行われたRCT(ADAPT
AF-DES試験、960名)において、NOAC単剤療法は、併用療法と比較して12ヶ月時点の純臨床イベント(全死亡、心筋梗塞、ステント血栓症、脳卒中、全身性塞栓症、出血の複合)を有意に減少させた(9.6%
vs 17.2%、ハザード比 0.54 [95.2% CI, 0.37-0.77]; P<0.001)。特に出血イベントの大幅な減少(5.2% vs 13.2%)が寄与していた。 - Future:
ステント留置後1年を経過して安定しているAF患者においては、虚血リスクを高めることなく出血リスクを抑えるため、NOAC単剤療法が第一選択となるべきであることが再確認された。
出典: N Engl J Med 2026; 394: 658-668
Adenoviral Inciting Antigen and Somatic Hypermutation in VITT
- Known:
アデノウイルスベクターを用いたCOVID-19ワクチン後に稀に発生するワクチン誘発性免疫血栓性血小板減少症(VITT)は、血小板第4因子(PF4)に対する自己抗体によって引き起こされる。しかし、何がトリガーとなり、どのように自己抗体が産生されるのかは不明であった。 - New:
遺伝学およびプロテオミクス解析の結果、VITT患者は共通の免疫グロブリン軽鎖アレル(IGLV3-21*02/*03)を有し、そこに特定の体細胞超変異(K31E)が生じていることが判明した。アデノウイルス粒子のコアタンパク質VII(pVII)上のエピトープを認識する抗体が、この変異によってPF4とも交差反応するようになり、病的な自己抗体へとシフトすることが突き止められた。 - Future:
VITTの分子レベルの病態が解明されたことで、アデノウイルスベクターを用いた次世代ワクチンの設計において、危険なエピトープを回避する手法の開発が可能になる。また、同様の機序(分子模倣と体細胞変異)が他の自己免疫疾患に関与している可能性も示唆される。
出典: N Engl J Med 2026; 394: 669-683

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