【本】17048『人はなぜ不倫をするのか』亀山 早苗

投稿者: | 2017-03-25

2016年は、不倫が週刊誌の紙面を賑わせた。その流行に乗り遅れないタイミングで、本を上梓するスピードは素晴らしい。
不倫をテーマに、動物学者、脳科学者などにインタビューした内容をまとめた内容だ。

どちらかというと、不倫などというものはヒトが決めたルールでしかないので、歴史学とか、社会学などの方々にインタビューした方がいいのではないだろうか。
実際本書も、動物学・脳科学の方々が不倫という卑近な枠に合わせて話をしないといけないため、内容の重複が多い。

そもそも、日本は本来、夜這い文化である。
浮気相手を2つに重ねて切るというのはあくまで武士のルールであり、農村部や庶民ではそのようなものはない。
夜這い文化では、父親が誰かわからない。妊娠した女性は、父親を指名できるのがルールだ。
父親と指名された男性も、見に覚えがないわけではないので、受け入れる。
これは、生物学的に優位なオス(精子が元気)の遺伝子を宿しながら、社会的に優位なオス(経済力がある等)を父親としてゲットできる、母親にとって大変優位なシステムである。
そうなると、父親に指名された男性も、その子供が自分の遺伝子を宿しているかどうかが分からない。

したがって、妊娠した女性は母系社会で育てるようになった、というのが里帰り出産の始まりではないかと思う。
未開の地に住む民族にも、母系社会を中心とするものがあるが、これも乱婚社会であるようだ。

母系社会は子育てに有意義だが、他部族との争いに弱い。だから、現在残っているヒトの文明は男系社会の方が多いそうだ。
したがって日本の、男系社会のなかに子育てだけ母系社会を残した方法は、かなり合理的な文化と言える。

本書の内容とは逸れたが、不倫などヒトの文化を語るには、いささか人選ミスだったのではないかと思う。

自己評価が低くなるかというと、もちろん家庭内での親の扱いもありますが、やはり経済的にやっていけないからですよ。女がプライドをもって食っていけない。

生物の世界は資源(エサやよりよい生息環境)があれば、必ずそれを狙うものが出てきます。

少なくともわれわれが意識する知性とか理性というものは、本能を合理的に扱うためにできあがった便利な道具の一つではないでしょうか。

一夫一妻という形をとる動物は、哺乳類で3~5パーセント程度

いい遺伝子とは「免疫力が高い」ことを意味し、これは動物の歴史が、病原体との闘いであったことを意味します。動物は自分の遺伝子の全滅を防ぐために、本能的に多様な遺伝子を残そうとします。そのための浮気は動物にとって本能で、これを倫理で語ることはできません。だから動物学的には「不倫」ではなく「浮気」が正しいと思います。

ゴリラのオスは体重が200キロを超える巨体です。オスの身体が発達したのは、ハーレムの防衛と乗っ取りをめぐってオス同士が格闘するから

チンパンジーのオスは精巣(睾丸)が左右あわせて120グラムもあり、人間の3~4倍となっています。これは彼らが乱婚的であり、たくさんの精子を作ってメスに自分の子を産ませる確率を高めるのが目的だということの証拠

男が外での活動に成功するにはうまい言葉を口にして、いかに外の女をその気にさせるかがポイントです。家にいる妻への言い訳も必要でしょう。こうして男は口説く能力、つまり言語を進化させた。

1958年には、日曜日にミサに通っていたフランス人は35パーセントでした。ところが2004年にはわずか5パーセントになっています。2014年には0・9パーセントしかいないという調査もあります。

芸人やタレントはキャラクターを演じているのだ、と。俳優は役を演じるから、役者であって実像ではないと周りも理解しているから成立します。でも芸人は本来、芸を見せるものなのに、今はキャラを見せている。

だから、キャラのイメージを壊すのがタレントや芸人の罪になる。ベッキーさんもそうだっ

いろいろな意味で日本は動きが少ない社会なんです。宗教がないのに社会をまとめなくてはいけないから、そうやって人の動きを止めて、「神」ではなく「会社」への妙な忠誠心をもたせることでまとめようとしている。流動的な社会は信用できないと思わされているんですよ、私たちは。それが日本の息苦しさです。

でも今、これを罰するのは、宗教でも法律でもなく人なのです。

ヒトの特徴から言えば、人間は一夫一妻でやっていくほうが合理的

「子どもがかわいい。子どもに恋しちゃう」と言っている女性がいますが、進化の過程を考えると、順番が違うと思うんです。子どもへの愛情が、異性への恋より先なんです。

「胸が痛む」「心が痛い」というのは、脳から見ると物理的な痛みと同質

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