【本】16141『アマゾンと物流大戦争』角井 亮一

投稿者: | 2016-12-30

Amazonのおすすめに出て来るので購入。
Amazonにどっぷり浸かっている人間が、いまさらAmazonのすごみについて知る必要もないかなと思ったが、なかなかおもしろい。

筆者はロジスティクスの専門家らしい。Amazonがいかに顧客中心主義な企業であるか、徹底した低コストをいかに実現したか、などを書いている。

日本では配送業者が悲鳴をあげているが、それでも配送業者には利益になるうえに、Amazonを取り扱えない逸失利益も大きいため、撤退もできない。
消費者を握られてしまっているので、どうにも動きづらいのが現状でしょう。

しかし消費者にとってみれば、「安く買い物できる」というのがすべてですから、仕方ないとも言えます。

“第一に、ロジスティクスは非常に参入障壁が高いものだからです。洗練されたロジスティクスは、一朝一夕に築き上げられるものではありません。ゆえに、一度強固なロジスティクス網を張り巡らされてしまったら、外から見て真似ることもできず、それに太刀打ちできるロジスティクスを作るのには相当な時間がかかることになります。”

“第二の理由は、ロジスティクスがそもそも合理化、低コスト化の手段であるがゆえに、それがアマゾンにとっての磨き上げ続けられる武器になっているからです。”

“アマゾンは徹底して「顧客中心主義」を貫き通すため、商品を供給する側ではなく買う側を優先してきました。彼らは真正面から声をあげるわけではありませんが、顧客のために透明性の高い価格で、しかも従来よりも低価格でサービスを提供するのが顧客のためだ、というスタンスを絶対に崩すことはないのです。”

“アマゾンは高度なロジスティクスを用いて低コスト化を実現し、その利益のほとんどを自社の物流ネットワークを築くための投資に回し、また顧客の代弁者としてさらなる低価格での商品提供のための原資として使います。”

“ロジスティクスを楽天は短期で買えるもの、つまりコストだと考え、アマゾンは長期で構築する投資だと考えたところに決定的な違いが現れました。”

“さらなるディスカウントへ  アマゾンは、こうして優れたロジスティクスを構築することにより削減された物流コストを、マーケティングにではなく物流へのさらなる投資と、商品の価格削減のための施策につぎ込みました。ウォルマートに学んだEDLPの実践です。  例えば、「配送料無料」を始めたのも、マーケティングにお金をかけるよりも顧客に還元するほうがいいとアマゾンが考えた結果です。”

“ロジスティクスを磨き上げるアマゾンにとって、オフラインの世界はさらなる成長をもたらす新たな領域になるからです。ロジスティクスは規模の大きさに応じて磨かれます。すでにネット通販で培ったノウハウをオフラインの世界に持ち込むことで、新たな物流の革命を起こそうとしている”

“技術の視点から見れば、前者のエコーは「AI(Artificial Intelligence:人工知能)であり、後者のダッシュボタンは「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」ということになる”

“「在庫の一元管理」「店頭とネット通販の価格統一」「店員教育」の3つはオムニチャネルを実現するための必要条件”

“もはやスピード配送を競うだけの時代ではありません。顧客の望むより正確な時間に、指定された場所へ届けることが求められています。”

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