【本】16023 在宅介護-「自分で選ぶ」視点から by 結城康博

投稿者: | 2016-03-18

在宅介護を推進している昨今ですが、本当に在宅がよいのでしょうか。
認知症になったとき、施設に入りたいという方は47%になるそうです。

認知症になったら施設希望47% 内閣府が初の意識調査
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG23H74_T21C15A0000000/

他の人に迷惑をかけたくない、というのが主な理由だとか。
結局、在宅を望む人もそうでない人もいる…というのが現実です。

国にとってはどちらが良いのか。
トータルコストで考えるなら、介護施設の方が効率的に決まっています。介護を要する人が集められ、スキルのある人がケアしていきます。
しかし、国は介護費用支出で考えます。
施設サービスより在宅サービスの方が国の支出は少なく済みます。
しかし、その少なく済んだ部分は家族に押し付けられているとも言えます。

介護施設にいつでも入居できるのであれば在宅介護もありかもしれませんが、在宅で家族がつかれたとき、誰かが手を差し伸べることができるとは限らないのが昨今です。
このような現実を知って、本当に在宅をしたいと思う方がいるでしょうか。

特に、認知症は悲惨です。
家族では面倒みきれずに、行方不明になってしまう方もいます。
“警察庁や厚労省の資料によれば、これらの行方不明者は、二〇一二年九六〇七人、二〇一三年一万三二二人にのぼっている”
“認知症等による行方不明者のうち二〇一二年三五九人、二〇一三年三八八人の死亡が確認されている。”

現在の介護審査は、身体的な障害を重視するため、徘徊する認知症患者の介護度は軽くつきがちです。
そうなると、十分な介護サービスを受けられず、結果として認知症の悪化やトラブルにつながります。

一方で、2015年の法改正によって、介護施設への入所は要介護度3以上という条件がつきました。
ますます、認知症患者は行き場を失っています。

先日最高裁判決が出た認知症患者の踏切事故なども、また悲劇が繰り返される可能性があります。
認知症が増加する現在、介護度の枠組みも見直す必要があるのかもしれません。

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