【本】『生きるための選択(In Order To Live)』パク・ヨンミ #3

投稿者: | 2016-01-03

”家に戻ってからは、ひたすら本を読んだ。人が空気を吸うように本を吸収した。読書は知識や楽しみのためではなく、生きるためだった。使えるお金は月に三十ドルしかなかったが、それがなくなれば、お金を掻き集めて本を買った。”

”読めば読むほど、考えが深まり、視野が広くなり、感じかたも豊かになるのがわかった。韓国には、私の知らなかったたくさんの語彙があり、世界を表現する言葉が増えれば、複雑なことを考える能力もより向上する。”

”自分の中に育つ言葉がなければ、本当の意味で成長したり学んだりすることはできない。そのことがわかってきて、自分の脳が文字通り生き返るのを感じた。暗く不毛だっただ土地に新たな道が出現したみたいに。読書が、生きていることの意味、人間であることの意味を教えてくれた。”

13歳で脱北した女性の手記。中国での生活を描いた第二部で、人身売買業者がわずかに見せる人間味が丁寧に描かれているのだが、どう受け止めたら良いか、私はまだ消化できていない。そしてこの本は言葉や教育の重要性も教えてくれる。韓国での生活を始めてから、短期間で人間らしい感情や思考力を身につけていく部分は圧巻だ。彼女にとってはまさに、読書は人間として生きるためのものだった。おすすめ本です。

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